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芸術賞
げいじゅつしょう
作品ID44352
著者岸田 国士
文字遣い新字旧仮名
底本 「岸田國士全集19」 岩波書店
1989(平成元)年12月8日
初出「都新聞」1925(大正14)年5月14日
入力者tatsuki
校正者Juki
公開 / 更新2009-02-16 / 2014-09-21
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より




 国民文芸会が昨年度の演劇賞金を土方与志君に贈つたことは正に当を得た措置である。
 土方君は高の知れた賞金ぐらゐを貰つたところで何にもなるまいが、かういふことは、もつと世間が問題にしてもいゝ。いろいろの弊害が伴ひ易い制度ながら、兎も角も芸術と社会との接触は、こんな年中行事からでも助長せられるものである。芸術家の私行を云々する興味よりも、一段の光彩と活気とを所謂「文芸消息」に与へることは確である。
 中村武羅夫氏や正宗白鳥氏などが、又いやな顔をされるかも知れないが、仏蘭西では此の種の賞金が年に幾つあるかわからない。アカデミイ・ゴンクウルが黒人マランの小説を推賞して大に人種平等論の為に気を吐き、エルヴイユウ賞がエルヴイユウ嫌ひとして知られてゐるコポオの処女劇作「生れ家」に与へられて、皮肉な巴里人を悦ばせた如き、共に最近の芸術賞を取巻く好個の話題であつた。



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