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文学界後記
ぶんがくかいこうき
作品ID44452
著者岸田 国士
文字遣い新字旧仮名
底本 「岸田國士全集23」 岩波書店
1990(平成2)年12月7日
初出「文学界 第四巻第二号」1937(昭和12)年2月1日
入力者tatsuki
校正者門田裕志
公開 / 更新2009-12-02 / 2014-09-21
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)

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本文より




          ○
 文学界の精神といふやうなものがだん/\はつきりして来たことはうれしい。
          ○
 当代の文学者が、それ/″\の立場の上で、互に共通の目標を自覚しはじめたことの証拠である。
          ○
 文学が文化運動の流れに沿ひ、しかも、これを誘導すべき役割をもつといふ意味が、俄かに拡大された理由をもつとはつきりさせねばならぬ。
          ○
 そのために、創造の幾部分が啓蒙に捧げられても悔いない覚悟を、同人の大多数が期せずしてもつに至つたことは、悲壮と云つてもよろしい。
          ○
 が、実は、悲壮でもなんでもない。それが、今日、自分たちを生かすただ一つの道だとしたら!
          ○
 十八世紀的臭味など恐るゝに足らぬ。
 現代の日本では、二十世紀なる言葉は凡そ空虚な響きをしかもたぬことを知るものは知つてゐるのだ。
          ○
 アカデミスムの樹立が進歩的であつたりする矛盾を嗤ふにも嗤へないのである。
          ○
 池谷賞の詮衡を終つた。各文学賞が特定のジヤンル、又は、限界によつて、いつそう受賞者の風貌を鮮明に浮きあがらせることが、将来に残された問題だと思ふ。
 今は、少くとも、そんなことをしてゐる暇はないといふ時代か。
          ○
 膝づめ談判で、作文競争のやうなこともさせられた編輯当番の寝言以上の如し。



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