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新築地に与へて
しんつきじにあたえて
作品ID44620
著者岸田 国士
文字遣い新字旧仮名
底本 「岸田國士全集24」 岩波書店
1991(平成3)年3月8日
初出「月刊新築地劇団 第二十六号」1939(昭和14)年1月1日
入力者tatsuki
校正者門田裕志
公開 / 更新2009-12-18 / 2014-09-21
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より




 およそひとつの新劇団の歴史といふものは、常に苦闘の連続なのであるが、現在、創立十周年を迎へるといふ新築地劇団の如きは、あらゆる意味に於て満身瘡痍といふ感じを与へ、今日までその生命を持ちつゞけたことは寧ろ奇蹟であると云つていゝ。しかし、それでゐて、単に余命を保つかたちでなく、立派にその団結の中心を芸術的な目標において、時に衆目をそばたゝしめるやうな業績を示し得る力はいつたい何処にあるのだらうと、私は常に興味をもつてその活動を眺めてゐるものである。恐らく、過去の組織的訓練と、純粋な演劇愛との結合が恵まれた人的要素のうへに加はつて、一種不動の基礎を作つてゐるからに違ひない。
 将来、新劇の耕すべき畑はいろいろあるであらう。わが新築地の畑にも、豊饒なみのりがあるやうに、私は私の立場で切に祈るものである。



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