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画期的な企て
かっきてきなくわだて |
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作品ID | 44630 |
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副題 | ――『デカルト選集』推薦の辞―― ――『デカルトせんしゅう』すいせんのじ―― |
著者 | 岸田 国士 Ⓦ |
文字遣い | 新字旧仮名 |
底本 |
「岸田國士全集24」 岩波書店 1991(平成3)年3月8日 |
初出 | 「デカルト選集 内容見本」創元社 |
入力者 | tatsuki |
校正者 | 門田裕志 |
公開 / 更新 | 2009-12-28 / 2014-09-21 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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哲学者としてのデカルトについて私はなんら語る資格はない。しかし、広い意味のフランス古典としてのデカルトの著作は、今まさにわが国に正しく移し植ゑらるべき時機であると思ふ。デカルトがその時代に探り得たものは、われわれが新しい東洋の文化について考へるうへでの貴重な資料とみることができ、三百年前に、西洋の発展と混乱とを既に予言した彼の思想はこれこそ現代に生きる最も健全且つ進歩的な思想だと云へないことはない。
とにかく、日本語で哲学するといふことは常人には厄介千万なことのやうに思はれてゐるが、それは多くの日本の哲学者の罪である。さういふ点で、今度のデカルトの翻訳者たちは、いづれも日常の言葉と専門語との距離をできるだけ近づける才能と工夫に富んだ人々であることが、この企てを画期的なものにしてゐると思ふ。