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![]() あたらしいしばい |
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作品ID | 44701 |
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著者 | 岸田 国士 Ⓦ |
文字遣い | 新字旧仮名 |
底本 |
「岸田國士全集26」 岩波書店 1991(平成3)年10月8日 |
初出 | 「文学座 第二十三号」1943(昭和18)年2月1日 |
入力者 | tatsuki |
校正者 | 門田裕志 |
公開 / 更新 | 2010-04-19 / 2016-04-14 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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文学座はいはゆる「新劇」に非る新しい劇の樹立を標榜して立つた。五年間の歩みは、その方向を誤らなかつたかどうか、私は、今それを判定する地位にゐないけれども、恐らく、これだけのことは云へさうだ。――若し現在の文学座に慊らないものがあるとすれば、それは、時代が少し急速に進展しすぎたためだといふことである。文学座は正しく歩かなければならぬ道を一歩一歩あるき、しかも、それは十年を要する道だったのである。駈足ではどうにもならぬ道を、一途に歩きはじめたものゝ宿命を、いま身を以て感じ、しかも、それはそれとしての矜りを失はず、こゝでひとつ、策をめぐらし、時局下の演劇人としての精神的飛躍を遂げることが、座員一同の今日の希ひだと思ふ。
これは転身ではなくて、献身である。
新しい芝居の道が、かくて、文学座にのみ開かれてゐると信じるのは、私一人ではあるまい。