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「娼婦マヤ」評
「しょうふマヤ」ひょう |
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作品ID | 44816 |
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著者 | 岸田 国士 Ⓦ |
文字遣い | 新字旧仮名 |
底本 |
「岸田國士全集28」 岩波書店 1992(平成4)年6月17日 |
初出 | 「娼婦マヤ 帯広告」白水社、1950(昭和25)年3月20日 |
入力者 | 門田裕志 |
校正者 | noriko saito |
公開 / 更新 | 2011-03-24 / 2014-09-16 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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ギャンチヨンの戯曲「マヤ」は、もう、フランス劇壇の独占物ではなく、世界の舞台の演目のなかに数へられる傑作の一つとなつた。
娼婦マヤの肉体と精神は、作者ギャンチヨンの青春の夢を宿して、あやしい燐光を放ち、人肉の市にくりひろげられる腐臭にみちた生活図も、清純な抒情と東洋的精神の調合によつて、言はば、真珠色の霧につゝまれてゐる。
戯曲「マヤ」は、それゆゑ、もつとも生彩に富む演劇的スペクタクルであり、若々しい才能の開花を思はせる野心的な劇詩である。
この作者と親交があり、かつ、フランスに於けるこの劇の上演を見たといふ小松清氏が「マヤ」の翻訳を思ひたつたことは極めて自然でかつ、適材を得たものといふべきである。