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「昨今横浜異聞」この集を編むについて
「さっこんよこはまいぶん」このしゅうをあむについて |
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作品ID | 44870 |
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著者 | 岸田 国士 Ⓦ |
文字遣い | 新字旧仮名 |
底本 |
「岸田國士全集28」 岩波書店 1992(平成4)年6月17日 |
初出 | 「昨今横浜異聞」四六書院、1931(昭和6)年2月10日 |
入力者 | 門田裕志 |
校正者 | Juki |
公開 / 更新 | 2011-10-23 / 2014-09-16 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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今日まで活字として発表した戯曲のうち、凡そ半数は大小の劇場で脚光を浴びた。上演されたもの、必ずしも自信のあるものではなく、上演の成績も常に満足とばかりは云へないが、自分の作品を通じてみて、舞台にかけられたものには、おのづから一つの特色があり、その特色は、この集一巻の存在理由ともなるべきもので、著者としては、これを謂はゆる「芝居好き」の読者に送り、わが劇作生活の貧しい紀念としたいのである。
無論、作品の選択は自分の好みに従つたが、まだ上場されないものを一篇だけ加へたのは、それによつて、多少ともこの書の「未来性」が保たれやうといふ、出版書肆の周密な配慮に従つたものである。
上演記録として、配役の外に、それぞれの舞台写真を挿入する計画であつたが、適当なものを揃へることができず、書物の体裁としては、型にはまつた口絵式写真よりも、寧ろ自由な挿画を配した方が「美術的」であると思ひ、特に中川一政氏を煩はして、装幀の労を延長していたゞくことにした。
昭和六年一月
著者