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犬さんと、くもさんと、かへるさん
いぬさんと、くもさんと、かえるさん
作品ID44949
著者村山 籌子
文字遣い新字旧仮名
底本 「日本児童文学大系 第二六巻」 ほるぷ出版
1978(昭和53)年11月30日
初出「子供之友」婦人之友社、1926(大正15)年10月
入力者菅野朋子
校正者noriko saito
公開 / 更新2011-03-28 / 2014-09-16
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


 犬のおばあさんは一人で暮してゐましたが、一人で暮らすのは、大変淋しうございました。お仕事をしてゐても、夜ねてゐても、一人でゐるのはつらいことでした。それで、仲間をさがすことにして、新聞へ広告を出しました。広告文はかうでした。

 私ハ犬デスガ、年ヲトリマシタノデ、一人デクラスノハ、サミシウゴザイマス。ドナタカ、私ノ家ヘ一シヨニ住ンデ下サル方ハアリマセンカ。タヾシ、私ノウチニハ、オ皿トナイフトフオークガ一ツヅヽシカアリマセンカラ、オイデ下サル方ハ、ドウゾ、ゴジブンノオ皿ト、ナイフト、フオークヲモツテイラシツテ下サイ。イツモ、オイシイゴチサウヲタベサセテアゲマス。
東京、犬小屋町 犬山クロ子

 この広告文をみて、お皿と、ナイフと、フオークを持つてやつて来たのがくもさんでした。くもさんは二階に住むことになりました。おばあさんは大変よろこびました。けれども二人目にやつて来たのがかへるさんでした。かへるさんは、あんまり急いで来たものですから、お皿と、ナイフとフオークを持つてくるのを忘れました。
 おばあさんも、くもさんも、大変こまりました。すると、かへるさんが言ひました。
「おばあさん、くもさん、ちつともお困りになることはありません。私は、皆さんがめしあがつたあとのお皿を借して頂きますから、大丈夫です。」
 すると、くもさんと、おばあさんは手を打つて、胸をなで下しました。
「それは、全くいゝ考へです。」と。
 三人は仲よくくらしました。



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