えあ草紙・青空図書館 - 作品カード
楽天Kobo表紙検索
にはとり は みんな しあわせ
にわとり は みんな しあわせ |
|
作品ID | 44994 |
---|---|
著者 | 村山 籌子 Ⓦ |
文字遣い | 新字旧仮名 |
底本 |
「日本児童文学大系 第二六巻」 ほるぷ出版 1978(昭和53)年11月30日 |
初出 | 「コドモノクニ」東京社、1939(昭和14)年2月 |
入力者 | 菅野朋子 |
校正者 | noriko saito |
公開 / 更新 | 2011-08-29 / 2014-09-16 |
長さの目安 | 約 4 ページ(500字/頁で計算) |
広告
広告
あるところに、にはとりのたまごが 八つありました。みなさん ごぞんじの やうに、そのなかには、ひよつこが はいつてゐます。
ところが、そのなかの 一わの ひよつこが そとにでたくなつて、なかから、からを、コツツン、コツツン、コツツンと つついて、ちひさなあなを あけました。
それから、そのあなに ちひさい くちばしを つつこんで、ガリ、ガリ、ガリ、ガリと ひつかきまわしましたので、からは メリ、メリ! と われて、ひよつこの きいろいあたまが みえました。メリ、メリ、メリ、メリ[#挿絵] からが、まんなかから 二つにわれて、ひよつこが とんででました。すると、むかふのはうで、
「コケツコツコ コケツコツコ コケツコツコ こつちへおいで、はやくおいで」とおかあさんの めんどりがいひました。ひよつこは とても うれしかつたので、
「ピーツク ピーツク ピー ピーツク ピーツク ピーツク ピー ピーツク はい、いますぐ、ピーツク ピー」とそばへ はしつてゆきました。
メリ、メリ、もう一つのたまごが われさうになりました。なかでは ひよつこが 一しやうけんめいに、コツツン、コツツン、コツツン、つついてゐます。
コツツン、メリメリ、コツツン メリ、コツツン、メリメリ、コツツン、メリ コツツン、メリメリ、コツツン、メリ、八つのたまごは つぎつぎに メリメリメリメリメリメリメリと われて、なかから、八つの かわいらしい ひよこがうまれました。
ひよこたちは、みんな、ちひさなあしで ピヨン ピヨン、チヨコ、チヨコと はねたり かけたり、おほさわぎ。そして、ピーツク、ピーツク、ピーツクと おかあさんの めんどりのそばへ はしつてゆきました。
「コケツコツコ、こつちですよ、コケツコツコ、こつちですよ。」と おかあさんの めんどりは ひよつこを おいしいたべもののところへ つれてゆきました。
そのうちに、八わの ひよつこたちは だんだんに おほきくなつて、きいろかつたはねは、いろんな きれいないろに かわり、あたまのうへに あかいとさかがはえて みんな 一にんまへの にはとりになりました。
ところが、そのなかの たつた一わの にわとりの とさかだけは、ほかの にわとりたちの とさかよりも どん、どん、おほきくなつて ゆきました。
あるあさ、そのにわとりが、おひさまの でてくる すがたを みると、しらないうちに、くちがおほきくあいて、こんなこえが、のどのおくから でてきました。
コケコツコー
コケコツコー
そのにわとりは じぶんながら、そのこえが いさましかつたものですから、つづけざまに
コケコツコー コケコツコー
コケコツコー コケコツコー
と むねをはつて、こえをはりあげて なきました。
そのこえを きいた あとの にわとりたちは びつくりしました。そして…