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天井からぶらさがる足
てんじょうからぶらさがるあし
作品ID45535
著者田中 貢太郎
文字遣い新字新仮名
底本 「伝奇ノ匣6 田中貢太郎日本怪談事典」 学研M文庫、学習研究社
2003(平成15)年10月22日
入力者Hiroshi_O
校正者noriko saito
公開 / 更新2010-11-14 / 2014-09-21
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


 小説家の山中峯太郎君が、広島市の幟町にいた比のことであった。それは山中君がまだ九つの時で、某夜近くの女学校が焼けだしたので、家人は裏の畑へ往ってそれを見ていた。その時山中君は、ただ一人台所へ往って立っていたが、何かしら悪寒を感じて眼をあげた。と、すぐ頭の上の天井から不意に大きな足がぶらさがった。それはたしかに人間の足で、婢室の灯をうけて肉の色も毛の生えているのもはっきりと見えていたが、その指が大人の腕ぐらいあった。山中君は怖いと云うよりもただ呆気にとられてそれを見つめていた。と、二三分も経ったかと思う比、その足が烟のようにだんだんと消えてしまった。



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