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作品ID | 45592 |
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著者 | 田中 貢太郎 Ⓦ |
文字遣い | 新字新仮名 |
底本 |
「伝奇ノ匣6 田中貢太郎日本怪談事典」 学研M文庫、学習研究社 2003(平成15)年10月22日 |
入力者 | Hiroshi_O |
校正者 | noriko saito |
公開 / 更新 | 2010-11-09 / 2014-09-21 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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母親を無くした小供が、ある夜、ふと眼を覚ました。その室は二階で、傍には親父をはじめ二三人のものが寝ていた。
と、梯子段をみしみしと云わして、あがって来る者があったが、やがてそれが障子をすうと開けて入って来た。それは死んだ母親であった。小供はおっ母さんが来たなと思って見ていると、その女は、入口の火鉢や炭取をかたよせてある処を通って、小供の枕頭の方に来ようとしたが、その拍子に衣服の裾が炭取にかかると、炭取りはぐるりと左から右に動いてその位置が変った。その時、祖父をはじめ傍に寝ていた者は皆いっしょにうなされた。