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大勢順応
たいせいじゅんのう |
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作品ID | 46191 |
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著者 | 勝 海舟 Ⓦ |
文字遣い | 新字旧仮名 |
底本 |
「日本の名随筆 別巻95 明治」 作品社 1999(平成11)年1月25日 |
入力者 | ふろっぎぃ |
校正者 | 浅原庸子 |
公開 / 更新 | 2006-03-24 / 2014-09-18 |
長さの目安 | 約 2 ページ(500字/頁で計算) |
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憲政党が、伊藤さんに代つて、内閣を組織した当時、頻りに反対して騒ぎまはつた連中も、己れは知つて居るよ。だが随分見透しの付かない議論だと思つて、己れなどは、独りで笑つて居たのさ。御一新の際に、薩摩や、長州や、土州が政権を執れたとて、なに彼等の腕前で、迚も遣り切れるものかと、榎本や、大鳥などは、向きになつて怒つたり、冷やかしたりした連中だ。所がどうだ、暫くすると、自分から始めて薩長の伴食になつたではないか。何も大勢さ。併し今度の内閣も、最早そろ/\評判が悪くなつて来たが、あれでは、内輪もめがして到底永くは続くまいよ。全体、肝腎の御大将たる大隈と板垣との性質が丸で違つて居る。板垣はあんな御人よし、大隈は、あゝ云ふ抜目のない人だもの、とても始終仲よくして居られるものか、早晩必ず喧嘩するに極つて居るよ。大隈でも板垣でも、民間に居た頃には、人の遣つて居るのを冷評して、自分が出たらうまくやつてのけるなどゝと思つて居たであらうが、さあ引き渡されて見ると、存外さうは問屋が卸さないよ。所謂岡目八目で、他人の打つ手は批評が出来るが、さて自分で打つて見ると、なか/\傍で見て居た様には行かないものさ。