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日記
にっき |
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作品ID | 46249 |
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副題 | 18 一九三一年(昭和六年) 18 せんきゅうひゃくさんじゅういちねん(しょうわろくねん) |
著者 | 宮本 百合子 Ⓦ |
文字遣い | 新字新仮名 |
底本 |
「宮本百合子全集 第二十四巻」 新日本出版社 1980(昭和55)年7月20日 |
入力者 | 柴田卓治 |
校正者 | 青空文庫(校正支援) |
公開 / 更新 | 2017-02-13 / 2017-01-12 |
長さの目安 | 約 27 ページ(500字/頁で計算) |
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一月一日 木曜日
なかなか寒いと思ったらチラチラ雪がふって来た。終日雪。
お雑煮はうち製なり。米より腹に入っての工合よろし。お雑煮をたべちゃってから、今日こそ仕事と二人とも机に向い、夕飯を間にはさんで『女芸』の日記のつづき十五枚書き終った。
夜なおなお寒い。
はばかりの窓にたてつけの間からすっかり雪がふきこんでしまってる。北側の雨戸をゆすぶって吹雪の音がした。
キクフジだったらどんなだろう! おそろし。
一月二日 金曜日
雪がとけはじめてる。暖か。しかし室内でも息は白く見える。
雨だれの音。
一月一日(木曜)
これは元日に書いたのではなく、五月十六日に書いているのだが。
この正月は二人きりで、クゲ沼のまんじゅう屋の借家でした。
暮の二十九日にYがまんじゅうやに越して来て、自分は東屋からその家へ行った。
一月三日(土曜)晴 暖
〔発信〕『大毎』、六回、七回、
今日、夕食、沼田より。お雑煮七つ食ってへばった。まだおもちうんとあり。
藤沢へ行った。郵便局、ハリ紙して
電報
電話のホカ休ミ
やっとうけつけて貰った。
ふじさわの町のアーチの板で、外套にひどいカギザキをこしらえてしまった。
〔欄外に〕
ゆきどけ、砂地ではちっともぬからず雪が消える。
一月四日(日曜)
体の工合わるし。一日臥床。
Y、ひとりで働いて、仕事して、今日から一人の三倍働くつもりだったのにねられて残念だが、まあ、これも一人分の働きかと云ってる。
一月七日(水曜)
〔発信〕八回九回「スモーリヌイ」四・五。
一月八日(木曜)
〔発信〕十回
一月九日(金曜)
〔発信〕十一回
一月十日(土曜)
〔発信〕十二回
一月二十三日(金曜)
窪川、その他今夜京都へ立つ
自分送りに行った。
小林、その他に会う。不二やへ行って茶をのみのみスポーツの話した。
夜おそくまでかかって、「ソヴェートには何故失業がないか」四枚半・戦□を送る。
一月二十四日(土曜)
つばめで京都。
三條青年会館でナップの講演会。
夜中井さんのところへかえった。窪川さんと二人で。
夜十二時ごろお茶づけの夕飯
京極で買ってったカレイで
一月二十五日(日曜)
大阪。
雨。
窪川さん、中井さんの黒マントを着てぬれて歩いてる。
中止をくった。
一月二十六日(月曜)
窪川さんをつばめで送って、徳直から旅費をもらった。
お琴のところへより、遠藤さんのところへゆき、夕方六時カモへ行ったら、三味線の音がして、台所では花の木の若い衆が働いてる。
多勢おばさん連が来ていた。八十いくつかとかのお千代さんのおっかさんが、傘をもったり手拭をかぶったりして踊った。
一月二十七日(火曜)
雪、鶯、おじいさん、えりまきをしてめがねかけてる。
これは本ものの雪見だ。
夜、貞の家へゆ…