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作品ID | 46252 |
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副題 | 21 一九三七年(昭和十二年) 21 せんきゅうひゃくさんじゅうしちねん(しょうわじゅうにねん) |
著者 | 宮本 百合子 Ⓦ |
文字遣い | 新字新仮名 |
底本 |
「宮本百合子全集 第二十四巻」 新日本出版社 1980(昭和55)年7月20日 |
入力者 | 柴田卓治 |
校正者 | 富田晶子 |
公開 / 更新 | 2018-02-13 / 2018-03-06 |
長さの目安 | 約 50 ページ(500字/頁で計算) |
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一月七日(木曜)
『文芸』に「迷いの末」横光の「厨房日記」批評を送る。
一月八日(金曜)晴 五。
〔発信〕第二十六信
昨夜岡田さん達がかえる時はミゾレがちらちらしていたが、晴天。
一月十一日(月曜)
文芸春秋に「ジイドとプラウダの批評」をやる。二十四枚也。
一月十三日(水曜)
目白三ノ三五七〇の家に引越す。
一月十六日(土曜)
〔発信〕第二十七信
一月二十五日(月曜)
○白揚社へ揃えた原稿を送り出した。
○『文学案内』に、「子供のために書く母たち」を十一枚送る。
○面会に行った。一ヵ月ぶり。mはG子と生活していることについて反対なり。「資格がちがうだろう。S君がリーベとして訪ねて来るんだろう?」「現在どうなっていようともTに対する僕の友情は変らないから、ユリが媒介のような立場になっているんだろう?」云々。Sが「実はユリに本を買って貰ったと、実はと云うような云いかた、これから本をやったりするなら僕達二人からとしたらいいね」云々。何だか、いやな心持をしている彼の心持が反映して来て苦しくいやで腹立たしかった。
○自分の都合のいいようにだけ、その面だけでものを見てmなどに手紙をかく。内にいた経験が、そういう人間的深さの上には何プラスも加えぬものだろうか。
〔欄外に〕
G子S、とのために心配し、ゴタゴタしいやなこころもちだけを経験している自分。
○この世の中には親切心を失わせるような人間もいる、又、親切心(自分の)に甘えすぎて自分の親切心を荷厄介にするものもある。
一月二十六日(火曜)
○朝那珂さん来、すっかりこの話では竹村[#竹村書房]の番頭という風にふるまっている。旅行記七八十枚入る。題字のこと。序文のこと。
○夕方、松田解子さん来。いろいろの話をする。
○咲来、つやぶきんだの、手紙のはかりだのをくれる。借金70也
一月二十七日(水曜)
保護観察所というところへゆく。毛利というもとの特課長のひとと初めて会った。昔風の煙草入れ、フランネルカラーのシャツ。一種の角苅の頭。大きい骨組み。二十一年、警視庁にいた由。「これまでは権力の仕事をして来たから、これからは仏にならなければならない云々」
かえり、新宿の三越でmのフランネルのおこし、四尺 4.50 なり。
○夕飯一寸前戸台君本をもって来てくれる。この間ののこり 2.00 を払う。
○T来る。四人で食事をしながら、T、一人雑誌を見たり、何だか気が揃わず不快。二階で、mの気にしていたことについて一寸話したら、一向平気の由。mの心持のふかさ分らず。
〔欄外に〕小説集に入れる原稿手入れをする。
一月二十八日(木曜)
〔発信〕第二十八信。
ネルのお腰を入れる。
一月二十九日(金曜)
『婦人文芸』へ「パアル・バックの作風その他」を十一枚送る。
S、来。正午頃から。いろいろG…