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日記
にっき
作品ID46263
副題33 一九五〇年(昭和二十五年)
33 せんきゅうひゃくごじゅうねん(しょうわにじゅうごねん)
著者宮本 百合子
文字遣い新字新仮名
底本 「宮本百合子全集 第二十五巻」 新日本出版社
1981(昭和56)年7月30日
入力者柴田卓治
校正者富田晶子
公開 / 更新2021-01-21 / 2020-12-27
長さの目安約 21 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

 

一月一日 日
 ことしは、12月29日のおかしな会以来、一つの転期に入っている。元旦早々いろいろの話をきかされる、機関のセンダンぶりについて。

一月三日 火
 くら、しげ、正、つ、などがあつまる、29日の印象について。

一月四日 水
 お客なし。いくらかくつろぐ。
 夜T来る。

一月五日 木
 新日本文学会の編集会議、夜十一時まで。
 基本的人権擁護について。

一月六日 金
 長島、来。くれのことがあってゆっくり。いろいろの話。こういう部面にも問題が山積。
 宮、きのう、きょう、『前衛』の論文をちぢめる仕事。

一月七日 土
 大森さんの口述でやっと「文学と生活」を一応まとめる。

一月八日 日
 非常につかれが出ている。宮、きょうは、きのう統制委員会・政治局合同会議がきまって日曜でも出席、コミンフォルムの野坂批判新聞に公表。いろいろに考えられる。

一月十八日 水
 拡大中央委員会

一月十九日 木
 拡中 第二日目

一月二十日 金
 三日目、地方ブロック会議、宮九州へふっとばされるらしい。

一月二十一日 土
 宮九州行きについて、いろいろの意見がある。
 一般報告は、いろいろ疑問をもたれる、所感に対する態度および、文化問題の部分。しかし、関東はやっきになって、本質的討論をさせない。

一月二十二日 日
 細胞の集会で、疑問を出しても、それは反党的であったと自己批判させ、松川事件の被告が、所感の前半は正しく後半はあやまりであるというのはほめるべき態度である、というようなことを律、本部集会で話す。

一月二十三日 月
 所感が生きているかのように、それについての検討をさせない方策ではりつめている。
 政治局決定で宮九州にきまる、人事一任、わきからの報告では何もしないこと、など、を条件とする。

一月二十四日 火
 天皇の威信失つい急速である。アメリカは、日本のKPはチトー化しつつあるとよろこんでいる由。

一月二十五日 水
 労働組合をこわしておいて、こんどは一般の統一戦線で、という式。右へ右へじりじり行く可能がある。そうさせているもの徳田の無理論性、志田のあいまい性、律のキツネ性、西沢のムコ根性と食わせられている党官僚の卑屈さ。

一月二十六日 木
 宮、風邪ひきとなる、ノドかぜ。つまり疲労である。自分のつかれもひどい。こんどのことでは(コミンフォルム)実に日本の党の質の低さ、わるさがはっきりした。日本の悲劇のふかさ。学生はなかなか鋭い。ポツダム宣言を受諾した東クニ内閣と云う。

〔二〕月二日
 宮のふとんが九州でいる、木綿の地を見る、それとうら。云いつける。

〔二〕月三日
 宮の夜着を母のおふるの大島でつくる。裏地をはかっていたら平田氏来る。小説十五日までにのびる。たちまちがいをして、ミシンではいで貰う。

〔二〕月四日
 夜、哲学者…

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