えあ草紙・青空図書館 - 作品カード
楽天Kobo表紙検索
サンタクロースがさらわれちゃった!
サンタクロースがさらわれちゃった! |
|
作品ID | 46347 |
---|---|
原題 | A Kidnapped Santa Claus |
著者 | ボーム ライマン・フランク Ⓦ |
翻訳者 | 大久保 ゆう Ⓦ |
文字遣い | 新字新仮名 |
入力者 | 大久保ゆう |
校正者 | |
公開 / 更新 | 2006-05-18 / 2014-09-18 |
長さの目安 | 約 28 ページ(500字/頁で計算) |
広告
広告
サンタクロースがどこに住んでいるか、ごぞんじですか?
実は、ニコニコ谷というところに住んでいるのです。そこでサンタクロースはおおぜいの妖精たちといっしょに暮らしています。ひとくちに妖精といっても、ニコニコ谷に住んでいる妖精にはいろいろあるので、じゅんに話していきましょう。
まずはリルです。リルというのは花の妖精のことで、自分にわりあてられた一しゅるいの花のおせわをしています。花というものは、根っこからごはんを食べるのですが、リルは花がごはんを食べられるよう、土の中にごはんをよういしたり、花の色をつける染料をよういしたりするのを、おしごとにしています。シルクハットにスーツ、ネクタイをしめて、いつもおしゃれにしています。
次はヌックです。ヌックというのは木の妖精のことで、いつもは木のおせわをしています。ふだんは、森のまだ若い木に水をやってうまく育つようにするのがおしごとですが、そのしごとはとてもたいへんなので、ヌックというヌックはみんな、こしが曲がってしまったということです。それにくわえて、世界中のどうぶつたちの見はるというしごともあります。ヌックの顔や身体には毛がいっぱい生えていて、遠くから見てももじゃもじゃに見えます。
またピクシーという妖精もいます。ピクシーはもともと小さい妖精の中でも、いちばん小さい妖精たちです。緑のぼうしと服を着ていて、おどりがとてもうまい妖精で、手先もきようなので、いろんな仕事をすることができます。
いちばんわたしたちになじみがあるのは、フェアリーでしょう。あの背中に羽の生えた妖精のことです。金色のかみの毛が肩までのびていて、うすい布でつくったスカートをはいています。そもそもフェアリーは人間をまもるのがおしごとですから、わたしたちも自然とフェアリーのことをよく知っているわけですね。
ほかにも、土の妖精であるノームや、小さな女の子の妖精であるニンフなどが近くの森に住んでいます。
ここでニコニコ谷のほうにお話をもどしましょう。
このニコニコ谷にはお城があります。とても大きくて広いお城で、ここでサンタクロースはみんなのためにクリスマスプレゼントをつくっています。このおもちゃ工場ではたらくのは、おおぜいの中からえらびぬかれた妖精たちで、一年の終わりごろからその次の年のクリスマスまで、ひっきりなしにはたらいています。
そうそう、どうしてこの谷がニコニコ谷というのか、話すのをわすれていましたね。それは、この谷にいるもの、あるものみんな、楽しく幸せにしているからです。妖精たちだけではありません。小川はいつもはしゃいでいて、岸のあいだではねては、くすくす笑っています。風は木のあいだをすりぬけながら、楽しそうに口笛をふいているし、お日さまの光はやわらかい草の上でかろやかにおどっています。スミレなどのいろんな花は、草のおうちの中から空…