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電信柱と黒雲
でんしんばしらとくろくも |
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作品ID | 46724 |
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著者 | 香倶土 三鳥 Ⓦ / 夢野 久作 Ⓦ |
文字遣い | 新字新仮名 |
底本 |
「夢野久作全集7」 三一書房 1970(昭和45)年1月31日 |
初出 | 「九州日報」1924(大正13)年2月7日 |
入力者 | 川山隆 |
校正者 | 土屋隆 |
公開 / 更新 | 2007-08-05 / 2014-09-21 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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電信柱が寒い風にあたってピーピーと泣いておりました。
黒い雲が来て、
「何を泣いているのだえ」
「寒いからさ。お前のような雲が来るから寒いのだ。こちらへ来ないでくれ」
「おれが悪いのじゃない。風がわるいのだ。おれは風につれられて来るのだから」
「おれは黒いものが大嫌いだ。この間も鴉がとまって、アホーアホーとおれを笑った」
「それじゃこれはどうだ」
と言ううちに白い雪をチラチラと降らしました。
電柱はだまってしまいました。