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幕末維新懐古談
ばくまついしんかいこだん
作品ID47009
副題71 その他のことなど
71 そのたのことなど
著者高村 光雲
文字遣い新字新仮名
底本 「幕末維新懐古談」 岩波文庫、岩波書店
1995(平成7)年1月17日
入力者網迫、土屋隆
校正者noriko saito
公開 / 更新2007-05-05 / 2014-09-21
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)

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本文より




 さて、楠公像は、この原型を同じ美術学校の鋳金科教授岡崎雪声氏が鋳造致して住友家へ引き渡したことでありました。木型はその後大阪の博覧場というのに飾ってありましたが、今日は何処にあることか。確か、白い木地は銅色に色をつけてあったと記憶します。
 またその後に至って、右の木型の形を縮めて、床置き位な小さい鋳物が四つか五つ出来ました(住友家の依頼であった)。これは山田鬼斎氏が大作に依って小型を彫りましたのです。その小型が今日美術学校の文庫に保存されてあります。これを元の原型と間違えている人もあるから、これもついでに間違わないように断わって置きます。事実を確かにして置きませんと、現にまだその製作主任をした私が生きている間に、早くもその作者の名さえも間違うようなわけでありますから、確実なことを記録に止めて置くは必要の事と思います。

 楠公像の馬場先門外に建ったのは、ずっと後のことで、その建設の場所なども、最初は学校の方で選定することになっておって、二重橋寄りで、直ぐ門に接した処にしたいという考えであったが、それは宮内省の方で、練兵の都合などあって御許しがなく、現在の位置に立つこととなりましたが、かえって今日ではこの方がよろしかったかと思われます。
 また台石の方は多分宮内省の方で作ったことと思います。この台石製作の任に当った人は、研究調査のため洋行をしたとか聞きました。
 何しろ、その当時のことで、銅像は東京市中に珍しく、九段の大村さんの銅像以来のことで、世の注目を惹きました。



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