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思ったままを!
おもったままを! |
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作品ID | 47245 |
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著者 | 国枝 史郎 Ⓦ |
文字遣い | 新字新仮名 |
底本 |
「国枝史郎探偵小説全集 全一巻」 作品社 2005(平成17)年9月15日 |
初出 | 「猟奇」1929(昭和4)年1月 |
入力者 | 門田裕志 |
校正者 | Juki |
公開 / 更新 | 2013-12-28 / 2014-09-16 |
長さの目安 | 約 2 ページ(500字/頁で計算) |
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文学成長の道程の中に外国文学模倣時代という時期がある。この時期は成る丈け早く通過すべきである。日本探偵小説の如何に長くこの時期にウロツイていることか。笑う可きである。
○
僕には相当探偵小説家の友人がある。彼等の話を聞いていると軽蔑したくなる。「こういうトリックは如何さまのもので」「面白うござんすな、すぐにお書きなさい」「こういう奇抜な筋があるので」「こりゃ素晴らしい、急いでお書きなさい」「こういう怪奇はどうでしょう?」「ウーン、迚も素晴らしいものだ。君々いそいで書きたまえよ」こんな話ばかりを交わせている。しかも彼等の輩は、それらのトリックそれらの筋それらの怪奇を書くことによって、何を人生に寄与しようとするのか、そういうことは考えてもいない。
○
人生の再現、人生の創造――いずれも文学の目的である。探偵小説は、どっちかといえば、人生の創造という言葉にあてはめてよい文学である。――人生の創造ということは、実人生と遊離している世界を創って、読者を嚇かすことでは無い。人生を向上さす可くユートピアを創る謂なのである。日本の探偵小説家の輩はそういうことを知らない。