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こぞうさんの おきょう
こぞうさんの おきょう |
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作品ID | 4727 |
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著者 | 新美 南吉 Ⓦ |
文字遣い | 新字新仮名 |
底本 |
「ごんぎつね 新美南吉童話作品集1」 てのり文庫、大日本図書 1988(昭和63)年7月8日 |
入力者 | めいこ |
校正者 | もりみつじゅんじ、鈴木厚司 |
公開 / 更新 | 2003-11-07 / 2014-09-18 |
長さの目安 | 約 2 ページ(500字/頁で計算) |
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やまでらの おしょうさんが びょうきに なりましたので、かわりに こぞうさんが だんかへ おきょうを よみに いきました。
おきょうを わすれないように、こぞうさんは みちみち よんで いきました。
キミョ
ムリョ
ジュノ
ライ
すると なたねばたけの なかに うさぎが いて、
「こぼうず あおぼうず。」
と よびました。
「なんだい。」
「あそんで おいきよ。」
そこで、こぞうさんは うさぎと あそびました。しばらく すると、
「やっ しまった。おきょうを わすれちゃった。」
と こぞうさんが さけびました。
すると うさぎは、
「そんなら おきょうの かわりに、
むこうの ほそみち
ぼたんが さいた
と おうたいよ。」
と おしえました。
こぞうさんは だんかへ いきました。そして、うさぎの おしえて くれたように、ほとけさまの まえで、
むこうの ほそみち
ぼたんが さいた
さいた さいた
ぼたんが さいた
と かわいい こえで うたいました。
きいて いた ひとびとは びっくり して 目を ぱちくり させました。それから くすくす わらいだしました。こんな かわいい おきょうは きいた ことが ありません。
そこで、ごほうじが すむと、だんかの ごしゅじんは すました かおで、
「はい、ごくろうさま。」
と、おまんじゅうを こぞうさんに あげました。
「ごちそうさま。」
と こぞうさんは おまんじゅうを いただいて たもとに いれました。
こぞうさんは、かえりに その おまんじゅうを、さっきの うさぎに わけて やる ことを わすれませんでした。