えあ草紙・青空図書館 - 作品カード
楽天Kobo表紙検索
青空の梯子
あおぞらのはしご |
|
作品ID | 48437 |
---|---|
著者 | 原 民喜 Ⓦ |
文字遣い | 新字旧仮名 |
底本 |
「普及版 原民喜全集第一巻」 芳賀書店 1966(昭和41)年2月15日 |
入力者 | 蒋龍 |
校正者 | 小林繁雄 |
公開 / 更新 | 2009-07-16 / 2014-09-21 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
広告
広告
二階の窓に桜の葉が繁って、彼は中学を休んだ。曇った朝の空が葉のむかふにあった。雀が囀った。
怠けものはさきになって困るぞ、と誰も云はないが云ふ。それがちりちりと迫った。
彼は左官になって一生懸命高い梯子を登り降りする姿を夢みた。懐中時計の字のない部分は白かった。
正午前である。空がすっかり晴れて来た。