えあ草紙・青空図書館 - 作品カード
楽天Kobo表紙検索
『一國の主都』と言ふ大きな繪入の書籍を十年前にある處で見たことがある。都府の寫眞が幾つとなく入つて居て、立派な帝王の宮室の寫眞もあつた。そして其各國の都府の光景を當時有名なる作者が書いた。巴里をフランソア・コツペが書き、東京をピエル・ロチが書いて居た。横濱東京間の汽車を、かうした國にも汽車がある! と罵倒して居たのを覺えてゐる。コツペが巴里を書いたのも、この巴里風の純粹のフランス文で、美術の都を描いたのが面白いと思つたので覺えてゐる。