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バザンの小説
バザンのしょうせつ
作品ID48790
著者田山 花袋 / 田山 録弥
文字遣い旧字旧仮名
底本 「定本 花袋全集 第十五巻」 臨川書店
1994(平成6)年6月10日
入力者特定非営利活動法人はるかぜ
校正者きゅうり
公開 / 更新2020-12-26 / 2020-11-27
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


 バザンの[#「バザンの」は底本では「バサンの」]田園小説を二三册讀んだ。描寫などに稍々新らしい匂ひのする處がないでもないが、何うも全體の上の感じは餘りよくなかつた。“This, my son”など親と子といふ深い關係を材料にして居りながら、其中心にはねつから觸れたところはなく、其親に背いて巴里に出た息子の末路なども、作者に豫め成心があつて、さうした運命を得させたやうな氣がした。殊に息子の戀に就ての描寫が淺薄で、いかにも斧鑿の痕が歴々と見え透いて居るのは拙いと思ふ。それに、強いて誇大な事件をつくり出すのが、一番厭である。



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