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妖怪学講義
ようかいがくこうぎ
作品ID50125
副題01 再版につきて一言を題す
01 さいはんにつきていちごんをだいす
著者井上 円了
文字遣い新字新仮名
底本 「井上円了 妖怪学全集 第1巻」 柏書房
1999(平成11)年3月31日
初出「哲學館第七學年度講義録 妖怪學講義 合本第一册 緒言及總論」哲學館、1896(明治29)年6月14日増補再版
入力者門田裕志
校正者Juki
公開 / 更新2021-06-06 / 2021-05-28
長さの目安約 4 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

 余は、数年来研究せる四百余種の妖怪を八大部門に分かち、一昨年一年間を期して講述し、一時その筆記を印刷して有志諸氏に配布したりしが、その後、四方より続々購読を望まるるものありとて、書肆より切に再版を請求しきたれるをもって、ここに旧稿のまま再び印刷に付することとなす。再版は購読者の便をはかり、各部門につきてこれを合綴し、目録および付録を増加し、八大部門を合して六大冊となす。しかして、その印刷は余が哲学館拡張の件につき信州各郡巡回中に着手し、校合も多く他人に一任し、自ら修正を加うることあたわざりしは、余が遺憾とするところにして、かつ、そのことは読者に謝せざるを得ざるところなり。左に初版『妖怪学講義緒言』に題せし序文を掲ぐ。
 この緒言中に述ぶるがごとく、余、独力をもって日業の余暇、妖怪研究に従事することここに十年、その間、自ら四百余種の書類をさぐり、人より四百余項の通知をかたじけのうし、これに加うるに、全国六十余州を漫遊して実地に見聞したるもの、またすこぶる多し。ゆえにその材料、決して乏しというべからず。しかるに、そのうち事実として取るべきものわずかに十分の一に過ぎざれば、これによりて好結果を得ることはなはだ難しとす。ことに、これらの事実を抽象概括して一学科を組織するがごときは難中の難事にして、余輩不肖、遠く及ぶところにあらず。ただその端緒を今日に開かんと欲して、拙劣を顧みず、『妖怪学講義』を世に公にするに至る。こいねがわくば、四方の博覧達識の士、余が微志を助けて好材料を寄送し、もしくは参考書を指示せられんことを。郵書は東京市本郷区蓬莱町二十八番地、哲学館へ向け投函あらんことを請う。まず一言を題して、懇請することかくのごとし。
 また、左に初版『妖怪学講義』第一冊に題せしものを掲ぐ。
 余の「妖怪学講義録」を発行せんとするや、世人あるいは、好奇のあまりに出でて無用の閑言語を弄すとなすものあり。それ奇を好み閑言語を弄するがごときは、余の不肖といえども、またあえてなさざるところなり。そもそも余のここに及ぶゆえんのもの、実にやむをえざるものありて存すればなり。余、常におもえらく、わが国明治の鴻業、一半すでに成りて一半いまだ成らず、政治上の革新すでに去りて、道徳上の革新いまだきたらずと。方今、天下法律いよいよ密にして道徳日に衰え、郷曲無頼の徒、名を壮士にかり、もって良民を虐するものあり。不学無術ほしいままに時事を議し、詭譎陰険至らざるなく、居然政事家をもって任ずるものあり。黄口少年、乳臭いまだ乾かず、わずかに数巻の西籍を読み、生呑活剥、儼然学者をもっておるものあり、利をむさぼりてあくなきものあり。節義の風、廉恥の俗、蕩然地をはらう。これ、あに一大革新なくして可ならんや。しかして、これを革新するの道、教育、宗教をおいて、はたいずれにか求めん。これ、余が生を宗教界にうけなが…

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