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他計甚麽(竹島)雑誌
たけしまざっし
作品ID50161
著者松浦 武四郎
文字遣い旧字旧仮名
底本 「松浦武四郎紀行集(中)」 冨山房
1975(昭和50)年12月20日
初出「他計甚麽雑誌」配り物、1854(安政元)年10月
入力者川山隆
校正者ばっちゃん
公開 / 更新2012-12-21 / 2014-09-16
長さの目安約 22 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

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凡例

一 地理の肝要なる事、不肖今贅するに及ばず、皆しる處にして、頃年其事に識者心を盡さるゝ所の堅こうにし而龍動の繁昌、巴里斯の美麗人々皆しらざる者なし。山海數萬里を隔(て)其地の盛衰動亂も月を越ずしてしる。豈是太平の餘澤ならず(や)。然るに其知ると知らざると竹島なる物未だ誰も是を説く人なし。また知る人も稀なり。去る癸丑の秋より籌海の書數十篇を見るに、蝦夷、樺太、續て伊豆七島、無人島に及ぶ物有れどもまた竹島に及ぶ類を見ず。依而此一卷を編輯して以て竹島雜誌と名を冠しむるもの也。
一 其編澄習といへども街説里譚を不レ用。惣而引用の書に據て編す。其書の荒證に比すべき物は是我の杜撰にあらざれば閲者見ゆるし給え。
一 雖レ然其引用る處の事、もと漁夫獵人の話しを以て記したる物のみなれば、之杜撰は取べきなしといへども之陶金家の書せし北海隨筆も、後林子平氏三國通覽を著す原書となりしも同日の談なるべし。閲者敢て蔑視し給ふことなかれ。
明治三庚午の年後三日於二東京日比谷の馬角齋一誌るす
松浦武四郎弘
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引用書目
一 日本風土記
一 日本輿地路程圖
一 現存六帖
一 懷中抄
一 東涯隨筆
一 草蘆雜談
一 金森建策筆記
一 宗對馬守義功家譜
一 隋書
一 大清一統圖
一 北史
一 伯耆民談
一 竹島圖説
一 太平年表
一 長兵衞竹島ばなし
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 他計甚[#挿絵](日本風土記)また竹島と書は、此島(東の方大坂浦に有)に大竹籔有。其竹極めて大なるは周圍二尺斗なるものあり(竹島圖説)。よつて號るや。舳〔※[#「身+冉」、U+2822D、517-2]〕羅島〔國〕(隋書)等のまた名有。
 東涯隨筆に此島をして舳羅島等と云よし見えたれども、余按ずるに舳羅島と云ものは筑紫の沖に有る島をさして云り。九州邊にて瞽者どもいとだみたる聲にて※若[#「魚+(冢−冖)」、U+2B660、517-4]大臣の一代記といへるものを謠ひて市街を門づけして歩行有。其文句に舳羅島の事を多く乘せたり。然れども其前後の文句を考ふれば、舳羅島は壹岐か對島の事の樣に聞侍りけり。また東涯隨筆に周圍四十里とするに此竹島はさまではあるまじ。其大小の事は兎も角も彼大臣の比にして、此島の事未だ如何なることか今の世にさえ明かならざるに、よもしれもせまじくまた人家もあらざるやう覺ゆ。因に彼舳羅島の字の出ることと、其竹しまならざることとしらんが爲に爰に抄し置に、北史卷(九)十四倭傳、遺文林郎斐世清使國(倭國)度百濟行至竹島南望耽羅島〔國〕云々、等にて考ても此竹島は別なること明かなるべし。

 竹島は日本を離ること遠くして漢土に近く、境内頗る廣治なる島也(伯耆民談)。隱岐の國松島の西島(松島の一小屬島也。土俗呼て次島と云。)より海上道規凡四十里許り北の方に…

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