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革命の研究
かくめいのけんきゅう
作品ID50507
著者クロポトキン ピョートル・アレクセーヴィチ
翻訳者大杉 栄
文字遣い新字新仮名
底本 「大杉栄・伊藤野枝選集第一巻 クロポトキン研究」 黒色戦線社
1986(昭和61)年6月1日
入力者クロポトキン・プロジェクト
校正者岩澤秀紀
公開 / 更新2013-03-26 / 2014-09-16
長さの目安約 32 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

 これは主としてフランス大革命の事実にもとづいて述べたものであるが、僕等はさらにこれをロシアの現状に照らし合せて見て、そのますます真実なことにむしろ驚くものである。
 ボルシェヴィキの謀反人バンクハスト女史も、その機関誌『ウォーカース・ドレッドノート』にこれを掲載して、共産主義者の反省を求めている。
 革命の時に、どんな奴がどんなことをするかは、だまされまいと思う労働者のよく知っていなければならんことだ。(訳者)


 革命という言葉は、今では、被圧制者の唇にも、また所有者の唇にすらも、しばしば上る。すでにもう、時々、近い将来の変動の最初の顫えが感ぜられる。そして、大なる変動や変化の近づいて来る時にはいつもそうであるが、現制度の不平者は――その不平がどんなに小さくてもいい――かつては実に危険であった革命家という肩書を争って自分につける。彼等は現制度を見限って、何等かの新制度を試みようとする。それで彼等には十分なのだ。
 あらゆる色合の不平家の群が、こうして活動家の列の中に流れこむことは、勿論革命的形勢の力を創り、革命を不可避にする。多少でもいわゆる輿論に支持されていれば、宮殿や議会の中でのちょっとした陰謀でも政権を変え、また時としては政府の形式をすらも変えることができる。
 しかし革命は、それが経済組織にもある変化を及ぼそうというには、多数の意志の協力がいる。幾百万の人の多少活発な支持と協力とがなければ、革命はとうてい不可能である。いたるところに、どこの村にも、過去の取壊しに従事する人がいなければ駄目だ。そして他の幾百万の人は何かもっといいことが起るという望みの下に黙ってやらしていなければ駄目だ。
 大きな事変の前夜に起って来る、ぼんやりした、曖昧な、そして多くは無意識的なこの不平があり、現制度に対する不信用があって、それで初めて本当の革命家が広大無辺の勤め、すなわち幾世紀かの存在によって神聖なものとされて来た諸制度を数年間にもつくりかえる勤めを成就することができるのである。
 しかしまた、これが多くの革命が、その上に乗りあげて、そして倒れた暗礁なのである。
 革命が来て日常生活のきまった順序がひっくり返された時。いっさいの善悪の情熱が自由に爆発して真昼間にさらけ出された時。失神のそばに非常な熱誠を見、臆病のそばに勇敢を見、つまらぬ反感や個人的陰謀のそばに非常な自己犠牲を見る時。過去の諸制度が倒れて、新しい制度が相続く変化の中にぼんやりと描き出された時。その時に、さきに自ら革命家と名のったものの大多数は、秩序の守護者の列の中に急いで走って行く。
 街の騒ぎや、試みられる諸制度の不安定や、明日の不安やは、もう彼等を疲らせたのだ。彼等は、一方にすでに成就された些細な変化が暴風の中に滅んでしまうのを恐れる。そしてまた彼等は、経済制度のごく小さな変化も、すでにその…

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