えあ草紙・青空図書館 - 作品カード

作品カード検索("探偵小説"、"魯山人 雑煮"…)

偉大な医師たち
いだいないしたち
副題伝記による医学史
でんきによるいがくし
原題THE GREAT DOCTORS:A BIOGRAPHICAL HISTORY OF MEDICINE
著者
翻訳者水上 茂樹
文字遣い新字新仮名
入力者
校正者The Creative CAT
公開 / 更新2010-02-21 / 2019-03-03
長さの目安約 560 ページ(500字/頁で計算)
えあ草紙で読む
▲ PC/スマホ/タブレット対応 ▲

find 朗読を検索

本の感想を書き込もう web本棚サービスブクログ作品レビュー

find Kindle 楽天Kobo Playブックス

青空文庫の図書カードを開く

find えあ草紙・青空図書館に戻る

amazon.co.jp

本文より

[#ページの左右中央]


献辞:偉大な医師たちの教えを非利己的で目立たない働きにより実行した無名の医師たちに捧げる


[#改ページ]
第1版への前書き
 この本を書き始めたときに疑問が私を襲った。私は偉大な医師たちの生涯と仕事を書くことにしていた。しかし多くの医師たちは神聖な使命の火に鼓舞され毎日の業務に献身したので偉大であり援助を本当に必要とする無数の苦しむ同胞を助けてきた。病気の鎖を切ることによって多く人たちの涙を乾かし幸福を運び入れ多くのことを成し遂げていた。
 過去を振り返ってみると医師たちの行列は終わり無く続いているのを見る。衣服も言葉も社会における地位もそれぞれ異なり外見や方法は時代によって違う。ある者は尿瓶を手にしある者は聴診器を持っている。しかしすべての人は原始時代のシャーマンから現代の科学的な医師に至るまで同じ意志によって鼓舞されている。同じ目的を求め同じ理想によって導かれている。本当に偉大な多くの人たちであった。
 しかし歴史は彼らを忘れてしまった。彼らは寿命が尽きて死んだ。彼らが助け治した人々にしばらくは記憶が残った。しかしこのような人々も死んで世代は新しくなった。しばらくは大学や学会の記録に名前が残るだろうが今日では何が残っているだろうか? 長期間にわたり夕方に聴衆を楽しませ苦しみを忘れさせた俳優や音楽家と同じ運命を彼らはたどった。すなわち忘却の水の底に沈んで行った。
 後の世は創造的な人たちだけに栄冠を捧げる。病気と戦う新しい武器を作って新しい見通しで医術を豊かにした特別な医師以外は記憶に残らない。神のはっきりとしない考えに気付き激しい努力によってそれらを一般に知らしめ実用化することができた選ばれた魂のみが記憶されている。私はこの本にそのような偉大な医師たちのことを書いた。このような医師も少数ではない。医学の殿堂は多くの協力者によって創られた。医学の重要な原理が一般に使われるようになるには種々の形のエネルギーを必要とした。従って限定しなければならなかった。それぞれの時代について少数の医師たちに限って注目せざるを得なかった。すなわち医学の発展に必要な役割を果たした人たちや方向性を与え学派を形成し時代を代表した人たちに限った。名前をあげることを期待する医師たちの多くの名前が入っていないことによって読者たちは残念に思うかも知れない。私は現存している人たちの名前をあげない方針をとったので最近におけるきわめて重大な発見や重要な動きは省略せざるを得なかった。たとえば心理医学の近年の発展である。その他に私は百科全書的に完璧な記載は目指さなかった。医学および医術における基本的な発展の傾向に脚光を当てることだけで満足した。
 最高の業績をあげた人以外を言及しない記録は不適当だろうか? 医学の開拓者と我々のあいだに深い溝があると考えるべきだろうか?…

えあ草紙で読む

find えあ草紙・青空図書館に戻る

© 2019 Sato Kazuhiko