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吉田松陰
よしだしょういん
作品ID51204
著者徳富 蘇峰
文字遣い新字新仮名
底本 「吉田松陰」 岩波文庫、岩波書店
1981(昭和56)年11月16日
初出「国民之友」1892(明治25)年5月~9月
入力者kompass
校正者酒井和郎
公開 / 更新2017-08-04 / 2017-07-18
長さの目安約 275 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

[#ページの左右中央]


新島先生の記念として

  この冊子を献ぐ

        著者


[#改ページ]
[#ページの左右中央]


Trust thyself : every heart
vibrates to that iron string.
      ――Emerson.


[#改ページ]


緒言

 題して『吉田松陰』というも、その実は、松陰を中心として、その前後の大勢、暗潜黙移の現象を観察したるに過ぎず。もし名実相副わずとせば、あるいは改めて『維新革命前史論』とするも不可なからん。
 昨年の春初「本郷会堂」において、「吉田松陰」を講談す。のち敷衍して『国民之友』に掲出する十回。さらに集めて一冊となさんと欲す、遷延果さず。このごろ江湖の督責急なるを以て、咄嗟の間、遂にこれを成す。原文に比すれば、その加えたるもの十の六、七、その刪りたるもの、十の一、二。
 事実の骨子はおおむね『幽室文稿』『吉田松陰伝』より得来る。その他参照に資したるもの枚挙に遑あらず。
 松陰の妹婿にして、その同年の友たる楫取男爵、その親友高原淳次郎、松陰の後嗣吉田庫三の諸君は、本書を成すにおいて、あるいは助言を与えられ、あるいは材料を与えられたり。特に記して謝意を表す。
 松陰肖像は、門人浦無窮が、松陰東都檻送せらるるに際して描きたるものを、さらに謄写したり。松陰神社、及び墳墓は、久保田米僊君自からその境に臨んで実写したるもの。
 平象山の詩は、勝伯の所蔵に拠り、東遊稿は、高原淳次郎君の所蔵に拠る。稿中吉田大次郎とあるは、松陰初めの名なり。後「寅次郎」と改む。この稿は彼が米艦に塔じて去らんとするに際し、これを高原君に贐りて紀念となしたるものなりという。松陰が横井小楠翁に送りたるは、横井時雄氏の所蔵に拠る。この書簡は彼が露艦を趁うて長崎に来り、遠遊の志を果さんと欲して得ず、その帰途周防より横井翁に寄せたるもの。村田清風の詩は、嘉永四年余が叔父徳富一義、小楠翁に陪して天下を周遊するに際し、親しく村田翁に授りたるもの、今や蔵して余の家に在り。
 以上みなその真蹟を石印に写したるもの、希くは髣髴として、その真を失わざらん。
 勝海舟翁、佐久間象山と旧交あり、象山は松陰の師、而して余また海舟翁の門下に教を受く、故に翁の題言を請うて、これを篇首に掲ぐ、また因縁なくんばあらず。
明治二十六
第五帝国議会開会の日
東京民友社楼上において
著者
[#改丁]

吉田松陰年譜

天保元年庚寅  八月四日、萩城下松下村に生る。マヂニー隠謀のために捕えられ、追放せらる。
天保八年丁酉  米穀騰貴。二月、大塩平八郎乱を大坂に起す。四月、家慶征夷大将軍に拝す〔慎徳公〕。
天保十一年庚子 君侯毛利慶親の前において、兵書を進講す。
天保十二年辛丑 前将軍家斉薨ず〔文恭公〕。水野越前守幕政の改革に着…

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