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きたりすナトキンのはなし
きたりすナトキンのはなし |
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作品ID | 51345 |
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原題 | THE TALE OF SQUIRREL NUTKIN |
著者 | ポター ビアトリクス Ⓦ |
翻訳者 | 大久保 ゆう Ⓦ |
文字遣い | 新字新仮名 |
入力者 | 大久保ゆう |
校正者 | |
公開 / 更新 | 2010-03-10 / 2018-06-17 |
長さの目安 | 約 9 ページ(500字/頁で計算) |
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[#挿絵]
[#挿絵]
[#挿絵]
ノラに おくる ものがたり
[#挿絵]
これは おはなしです――つまりは きたりすの しっぽの はなしで、 そのこの なまえは ナトキンと いいました。
チンクルベリという おにいさんと おおぜいの いとこがいて、 みんなして みずうみの ほとりにある 1ぽんの きに すんでいました。
[#挿絵]
そのみずうみの まんなかには しまが あって、 もりと どんぐりの やぶに おおわれて、 1ぽんの がらんどうに なった ナラのきが ありました。 そこは しまの ぬしである ブラウンという ふくろうの おうちでした。
[#挿絵]
あるとしの あきは きのみも たわわ、 ハシバミの やぶでも はっぱが きいろに みどり ―― ナトキンと チンクルベリは おおぜいの こどもりすと いっしょに もりの そとへ でて、 みずうみの ほとりへと むかいました。
[#挿絵]
ちからを あわせて きのえだで こぶりの いかだを つくって、 みなもを こぎこぎ、 どんぐりを あつめに ふくろうの しまへ むかいます。
ひとりひとり ちいさな ふくろと おおきな オールを てにして、 ほぬのがわりに しっぽを のばします。
[#挿絵]
しまの ぬし ブラウンへの てみやげとして 3びきの ぶくぶくとした ねずみも つれていって、 とぐちの ところへ さしだしました。
それから チンクルベリと りすいちどうは いっせいに ふかぶかと おじぎを して、 ていねいな ことばづかいで、
「しまの ぬし ブラウンさま、 どうか このしまの どんぐりを とること おゆるし ねがえませんか?」
[#挿絵]
ところが ナトキンの たいどは めに あまるほど なまいきで、 あかい サクランボみたいに ふらふらと うごきながら こんなことを うたうのです。
「なぞなぞ なぞなぞ といてみろ!
あかい ふく きた ちびっこが
てには ぼうきれ、 のどには こいし、
このなぞ とけたら おだちんやるぞ。」
とはいえ このなぞなぞは むかしながらの ものなので、 しまぬしさまも ナトキンを とことん むししました。
かたく めを つむると ぐっすり すやすや。
[#挿絵]
りすたちは ちいさな ふくろ いっぱいに どんぐりを つめ、 ひが くれると いかだを こいで おうちへ かえりました。
[#挿絵]
けれども あくるひの あさ ふくろうの しまに もういちど みんなで むかいました。 チンクルベリたちは 1ぴきの まるまる ふとった もぐらを もっていって、 しまぬしさまの とぐちまえにある いしの うえへと のせて、 いいました。
「ブラウンさま、 どうか もっと どんぐりを とること、 おおめに …