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お月さまと ぞう
おつきさまと ぞう
作品ID51539
著者小川 未明
文字遣い新字新仮名
底本 「定本小川未明童話全集 16」 講談社
1978(昭和53)年2月10日
初出「コドモノヒカリ」1937(昭和12)年10月
入力者特定非営利活動法人はるかぜ
校正者Juki
公開 / 更新2012-09-16 / 2014-09-16
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


 正ちゃんと よし子さんが、ごもんの ところへ たらいを だして、水を いれると、まんまるな 月の かおが うつって、にこにこと わらいました。
「さあ、わたしを よく みて ください。」
と、月が いいました。
「大きな お月さまね。」
と、よし子さんが よろこびました。
「あの くろいのが うさぎかしらん。」
と、正ちゃんが あたまを かしげました。
「ほんとうの うさぎ?」
と、よし子さんが ききました。
「ああ、ぼうえんきょうが あると、よく わかるのだよ。」
 正ちゃんは あおむいて、お月さまを ながめました。
「わたし、くびが いたく なるから、おたらいのを みましょうよ。」
 この とき、あちらが がやがやしました。
「ごらん、ぞうが きた。」
と、正ちゃんが びっくりしました。
 大きな ぞうが、おうらいを あるいて きました。サーカスが、どこかへ いくのです。
 ちかちか ひかる、青い きものを きた おねえさんと、くろい ズボンを はいた 男が、むちを もって、ついて きます。
「こわいわ。」
と、よし子さんは おうちへ はいろうと しました。
「ぞうは おりこうだから こわく ないよ。」
と、正ちゃんは とめました。
 ごもんの まえに くると、ぞうは こちらを むいて、ながい はなで たらいの 水を すうと のみほしました。
「あら、お月さまを のんで しまったわ。」
と、よし子さんが いいました。
「おいたを しては いけません。」
と、ぞうは おねえさんの むちで、ピシリと たたかれました。



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