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つめたい メロン
つめたい メロン
作品ID51620
著者小川 未明
文字遣い新字新仮名
底本 「定本小川未明童話全集 16」 講談社
1978(昭和53)年2月10日
入力者特定非営利活動法人はるかぜ
校正者Juki
公開 / 更新2012-09-25 / 2014-09-16
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


 おかあさんが、れいぞうきの ふたを おあけなさると、いい においが しました。
「二郎ちゃん、メロンが つめたく なって いますよ。にいさんが かえったら、きって あげましょうね。」
と おっしゃいました。
 二郎さんは じぶんも、にいさんの しゃせいに いって いる、ぼくじょうへ いって みようかと おもって いると、おばさんが、きみ子さんを つれて、おいでに なりました。
 きみ子さんは、すぐ おにわへ でて ぶらんこに のりました。
 二郎さんは、バケツの 中の かにを、きみ子さんに みせて やりました。
「メロンを きりましたから、いらっしゃい。」
と、おかあさんが およびに なりました。ふたりは とんで きました。
「この つめたいのを、にいさんに やりたいなあ。」
と、二郎さんが いうと、
「まあ、かんしんなこと。」
と、おばさんが おほめに なりました。おかあさんは、メロンを バスケットに いれて くださいました。
「わたしも いっしょに。」
と、きみ子さんは、二りん車の うしろに のりました。
 二郎さんは スピードを だして はしりました。シャツの そでが 風に ふくらんで、かみのけが ふわふわしました。
「メロンを もって きた!」
と、ふたりが さけびました。すずしい 木の 下で、太郎さんは、クレヨンで うしの えを かいて いました。



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