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国訳史記列伝
こくやくしきれつでん
作品ID51919
副題04 司馬穰苴列伝第四
04 しばじょうしょれつでんだいよん
著者司馬 遷
翻訳者箭内 亙
文字遣い旧字旧仮名
底本 「國譯漢文大成 經子史部第十五卷 史記列傳」 東洋文化協會
1955(昭和30)年5月30日
入力者はまなかひとし
校正者みきた
公開 / 更新2022-03-17 / 2022-02-25
長さの目安約 8 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

箭内亙による譯司馬穰苴は田完の(一)苗裔也。齊の景公の時、晉は(二)阿・甄を伐ち、而して燕は(三)河上を侵し、齊の師敗績せり。景公之を患ふ。晏嬰乃ち田穰苴を薦めて曰く、『穰苴は田氏の(四)庶[#挿絵]なりと雖も、然れども其人、文は能く衆を附け、武は能く敵を威す。願はくは君之を試みよ』と。景公、穰苴を召して與に兵事を語り、大に之を説び、以て將軍と爲し、兵を將ゐて燕・晉の師を扞がしむ。穰苴曰く、『臣は素卑賤なり、君之を(五)閭伍の中より擢んで、之を大夫の上に加ふ。士卒未だ附かず、百姓信ぜず。人微にして權輕し。願はくは君の寵臣・國の尊ぶ所を得て以て軍を監せしめば、乃ち可ならん』と。是に於て景公之を許し、莊賈をして往かしむ。穰苴既に((君ヲ))辭し、莊賈と約して曰く、『(六)旦日(七)日中軍門に會せよ』と。穰苴先づ馳せて軍に至り、(八)表を立て(九)漏を下して賈を待つ。賈は素(一〇)驕貴にして、以爲へらく、將、已に軍に之く、而して己は監たり、(一一)甚だ急にせずと。親戚左右、之を送つて留飮す。日中にして賈至らず。穰苴則ち表を仆し(一二)漏を決し、入りて軍を行り兵を(一三)勒し、約束を(一四)申明す。約束既に定まる。夕時、莊賈乃ち至る。穰苴曰く、『何すれぞ期に後るる』と。賈謝して曰く、(一五)『不佞の大夫親戚之を送る、故に留まる』と。穰苴曰く、『將、命を受くるの日には則ち其家を忘れ、軍に臨んで約束すれば則ち其親を忘れ、(一六)枹鼓を援ること急なれば則ち其身を忘る。今敵國深く侵して、邦内騷動し、士卒、境に(一七)暴露す。君寢ねて席を安んぜず、食うて味を甘しとせず。百姓の命皆君に懸かる。何ぞ相送ると謂ふ乎』と、(一八)軍正を召して問うて曰く、『軍法に、期して後れ至る者は何と云ふ』と。對へて曰く、『斬に當す』と。莊賈懼れ、人をして馳せて景公に報じ、救ひを請はしむ。((莊賈ノ使者))既に往き、未だ反るに及ばず。((穰苴))是に於て遂に莊賈を斬り、以て三軍に徇ふ。三軍の士皆(一九)振慄せり。之を久しうして景公、使者を遣り(二〇)節を持して賈を赦す。((使者))馳せて軍中に入る。穰苴曰く、『將、軍に在れば、君の令も受けざる所あり』と。軍正に問うて曰く、(二一)『軍中には馳せず。今使者馳す、((軍法ニ))何と云ふ』と。正曰く、『斬に當す』と。使者大に懼る。穰苴曰く『君の使は之を殺す可からず』と。乃ち其(二二)僕と車の(二三)左[#挿絵]馬の左驂とを斬り、以て三軍に徇ふ。使者を遣り還り報ぜしめ、然る後行く。士卒の(二四)次舍・(二五)井竈・飮食より、病を問ひ醫藥するにいたるまで、身自ら之を(二六)拊循し、悉く將軍の(二七)資粮を取つて士卒に(二八)享し、身は士卒と粮食を平分して、最も其の(二九)羸弱なる者に比せり。三日にして後兵を勒す。病者も皆行かんことを求め、爭ひ奮つて、出でて之が…

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