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国訳史記列伝
こくやくしきれつでん
作品ID51920
副題05 孫子呉起列伝第五
05 そんしごきれつでんだいご
著者司馬 遷
翻訳者箭内 亙
文字遣い旧字旧仮名
底本 「國譯漢文大成 經子史部第十五卷 史記列傳」 東洋文化協會
1955(昭和30)年5月30日
入力者はまなかひとし
校正者みきた
公開 / 更新2022-07-17 / 2022-06-26
長さの目安約 24 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

箭内亙による譯孫子武は齊人也。兵法を以て呉王闔廬に見ゆ。闔廬曰く、(一)『子の十三篇吾盡く之を觀る。(二)以て小しく試みに兵を勒す可きか』と。對へて曰く、『可なり』と。闔廬曰く、『試みに婦人を以てす可きか』と。曰く、『可なり』と。是に於て之を許す。宮中の美女を出し、百八十人を得たり。孫子分つて二隊と爲し、王の寵姫二人を以て各[#挿絵]隊長と爲し、皆戟を持たしむ。之に令して曰く、『汝、而の(三)心と(四)左右の手と背とを知るか』と。婦人曰く、『之を知る』と。孫子曰く、『前は則ち心を視、左は左の手を視、右は右の手を視、後は即ち背を視よ』と。婦人曰く、『諾』と。約束既に布き、乃ち(五)[#挿絵]鉞を設け、即ち之に(六)三令五申す。是に於て(七)之を右に鼓す。婦人大に笑ふ。孫子曰く、『約束明かならず、(八)申令熟せざるは、將の罪也』と。復た三令五申して之を左に鼓す。婦人復た大に笑ふ。孫子曰く、『約束明かならず、申令熟せざるは、將の罪也、既に已に明かにして而も法の如くならざるは、吏士の罪也』と。乃ち左右の隊長を斬らんと欲す。呉王、臺上より觀、((孫子ガ))且に愛姫を斬らんとするを見、大に駭き、趣かに使をして令を下さしめて曰く、『寡人已に將軍の能く兵を用ふるを知る。寡人、此二姫に非ざれば、食、味を甘しとせず。願はくは斬る勿かれ』と。孫子曰く、『臣、既に已に命を受けて將たり。將は軍に在りては君命をも受けざる所有り』と。遂に隊長二人を斬りて以て徇へ、其次を用て隊長と爲す。是に於て復た之に鼓す。婦人、(九)左右前後跪起、皆、(一〇)規矩繩墨に中り、敢て聲を出すもの無し。是に於て、孫子、使をして王に報ぜしめて曰く、『兵既に整齊[#「整齊」の左に「トトノフ」のルビ]す、王試みに下りて之を觀る可し。唯だ王の之を用ひんと欲する所、水火に赴くと雖も猶ほ可也』と。呉王曰く、『將軍、(一一)罷休し(一二)舍に就け、寡人、下りて觀るを願はず』と。孫子曰く、『王、徒に其言を好んで、其實を用ふること能はず』と。是に於て闔廬、孫子の能く兵を用ふるを知り、卒に以て將と爲す。西は彊楚を破つて(一三)郢に入り、北は齊・晉を威し、名を諸[#挿絵]に顯はす。孫子與つて力有り。孫武既に死し、後百餘歳にして孫[#挿絵]有り。
[#挿絵]は(一四)阿[#挿絵]の間に生る。[#挿絵]も亦孫武の後世の子孫也。孫[#挿絵]嘗て[#挿絵]涓と倶に兵法を學ぶ。[#挿絵]涓既に魏に事へ、惠王の將軍と爲るを得て、自ら以爲らへく[#「以爲らへく」はママ](一五)能・孫[#挿絵]に及ばずと、乃ち陰に((人ヲシテ))孫[#挿絵]を召さしむ。[#挿絵]至る。[#挿絵]涓其の己に賢るを恐れて之を(一六)疾み、則ち法刑を以て其兩足を斷ちて之を(一七)黥し、(一八)隱れて・見る勿からんことを欲す。齊の使者、(一九)梁に如く。孫[#挿絵]、(…

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