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お別れ
おわかれ
作品ID52160
著者大杉 栄
文字遣い新字新仮名
底本 「大杉栄全集 第14巻」 日本図書センター
1995(平成7)年1月25日
初出「家庭雑誌 五巻八号」1907(明治40)年6月
入力者笹平健一
校正者持田和踏
公開 / 更新2022-09-16 / 2022-08-27
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


 読者諸君の中で、『平民新聞』をお読みなさらなかった方は、たぶん御存じもありますまいが、私、つまらん筆の禍のために、当分諸君とお別れをして、そして監獄に行かねばならぬのであります。
 それは、かつて『平民新聞』に記載したクロポトキン翁の「青年に訴う」というのが政府の忌諱にふれたので、先月の末に東京地方裁判所で、秩序壊乱の廉とかによって軽禁錮一カ月半の宣告を下されたのであります。
 けれども、その当時少しく遣りかかっていた仕事があったものですから、せめてそれを終るまで入獄の日延をして戴こうと思いまして、さっそく控訴の届出をして置きました。
 ところが二、三日前にようやくその仕事も終りましたので、またさっそく裁判所へ出掛けまして、先きの控訴を取り下げて参りました。すると、今日端書が来まして、二十九日の午後二時に刑の執行をするから出頭しろというのであります。致し方がありません参りましょう。
 そして一カ月半を経る間に、もう一つの今大審院で審議中の「新兵諸君に与う」事件の方も何とか片がついて、そしてその刑期がまたこれに加わって、早くとも八月の上旬まではそこに勤めていねばならぬことと思います。これもまた致し方がありません、神妙に勤めましょう。
 けれども一つ私の胸をいためますのは、この二つの新聞の編集兼発行人であった石川三四郎君と山口義三君とが、僕と連座して、しかも僕の刑期を二倍されて、同じく獄につながれねばならぬことであります。
 僕の不在中は、『家庭雑誌』の編集を堺兄にお頼みしました。これは御安心を乞います。
 終りに臨んで、諸君の健康を祈ります。



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