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新頌
しんしょう
作品ID52370
著者北原 白秋
文字遣い旧字旧仮名
底本 「白秋詩歌集 第二卷」 河出書房
1941(昭和16)年2月19日
入力者岡村和彦
校正者川山隆
公開 / 更新2011-03-01 / 2014-09-21
長さの目安約 24 ページ(500字/頁で計算)

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本文より

[#ページの左右中央]



海道東征


[#改ページ]

海道東征

第一章 高千穗

男聲(獨唱竝に合唱)

神坐しき、蒼空と共に高く、
み身坐しき、皇祖。
  [#挿絵]かなり我が中空、
  窮み無し皇産靈、
  いざ仰げ世のことごと、
  天なるや崇きみ生を。

國成りき、綿津見の潮と稚く、
凝り成しき、この國土。
  [#挿絵]かなり我が國生、
  おぎろなし天の瓊鉾、
  いざ聽けよそのこをろに、
  大八洲騰るとよみを。

皇統や、天照らす神の御裔、
代々坐しき、日向すでに。
  [#挿絵]かなり我が高千穗、
  かぎりなし千重の波折、
  いざ祝げよ日の直射す
  海山のい照る宮居を。

神坐しき、千五百秋瑞穗の國、
皇國ぞ豐葦原。
  [#挿絵]かなり我が肇國
  窮み無し天つみ業、
  いざ征たせ早や東へ、
  光宅らせ王澤を。

第二章 大和思慕

女聲(獨唱竝に合唱)

大和は國のまほろば、
たたなづく青垣山。

東や國の中央、
とりよろふ青垣山。

美しと誰ぞ隱る、
誰ぞ天降るその磐船。

愛しよ鹽土の老翁、
きこえさせその大和を。

大和はも聽美し、
その雲居思遙けし。

美しの大和や、
美しの大和や。

第三章 御船出

男聲女聲(獨唱竝に合唱)

その一
日はのぼる、旗雲の豐の茜に、
いざ御船出でませや、うまし美々津を。

海凪ぎぬ、陽炎の東に立つと、
いざ行かせ、照り美しその海道。

海凪ぎぬ、朝ぼらけ潮もかなひぬ、
艪舳接ぎ、大御船、御船出今ぞ。

その二
あな清明け、神倭磐余彦、その命や、
あな映ゆし、もろもろの皇子たちや、その皇兄や。

行でませや、おほらかに大御軍、
まだ蒙し、遙けきは鴻荒に屬へり。

慶を皇祖かく積みましき、
正しきを年のむた養ひましぬ。

神柄や、幾萬、年經りましき、
暉や、かつ重ね、代々坐しましぬ。

和み靈、また和せ、ただに安らと、
荒み靈、まつろはぬいざことむけむ。

大御稜威い照らすと御船出成りぬ、
日の皇子や、御鉾とり、かく起ちましぬ。

その三
日はのぼる、旗雲の照りの茜を、
いざ御船、出でませや、明き日向を。

海凪ぎぬ、滿潮のゆたのたゆたに、
いざ行かせ、照り美しその海道。

海凪ぎぬ、朝ぼらけ潮もかなひぬ、
艫舳接ぎ、大御船、御船出今ぞ。

第四章 御船謠

男聲(獨唱竝に合唱)

その一
御船出ぞ、大御船出、
御伴船擧りさもらへ、
御伴びと擧り仰げや。
搖りとよめ科戸の風と
聲放て、東に向きて。
大御船眞棍繁ぬき、
照りわたる御弓の弭、
あな清明け、神にします、
あな眩ゆ、皇子にします。
はろばろや大海原、
涯なしや青水沫、
搖りとよめ大き國民、
大君に、
この神に、
讚へ言、
壽詞申せや。

その二
荒海の、
荒海の潮の八百道の、
八潮道の、
潮の八百會に、ハレヤ、
とどろ…

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