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檀君の近業について
だんくんのきんぎょうについて
作品ID52377
著者太宰 治
文字遣い旧字旧仮名
底本 「太宰治全集11」 筑摩書房
1999(平成11)年3月25日
初出「日本浪曼派 第三巻第七号」1937(昭和12)年9月1日
入力者小林繁雄
校正者阿部哲也
公開 / 更新2011-12-17 / 2014-09-16
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


 檀君の仕事の性格は、あまり人々に通じてゐない。おぼろげながら、それと察知できても、人々は何かの理由で大事をとつて、いたづらに右顧左眄し、笑ひにまぎらはし、確言を避ける風である。これでは、檀君も、やり切れぬ思ひであらう。
 檀君の仕事の卓拔は、極めて明瞭である。過去未來の因果の絲を斷ち切り、純粹刹那の愛と美とを、ぴつたり正確に固定せしめようと前人未踏の修羅道である。
 檀君の仕事のたくましさも、誠實も、いまに人々、痛快な程に、それと思ひ當るにちがひない。その、まことの榮光の日までは、君も、死んではいけない。
 檀君の仕事は今日すでに堂々のものである。敢へて、今後を問はない。



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