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講後
こうご
作品ID53350
著者宮沢 賢治
文字遣い新字旧仮名
底本 「新修宮沢賢治全集 第六巻」 筑摩書房
1980(昭和55)年2月15日
入力者junk
校正者土屋隆
公開 / 更新2011-07-02 / 2014-09-16
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


いたやと楢の林つきて
かの鉛にも続くといへる
広きみねみち見え初めたれば
われ師にさきだちて走りのぼり
峯にきたりて悦び叫べり
江釣子森は黒くして脚下にあり
北上の野をへだてて山はけむり
そが上に雲の峯かゞやき立てり
人人にまもられて師もやがて来りたまふに
みけしき蒼白にして
単衣のせなうるほひ給ひき
われなほよろこびやまず
石をもて東の谷になげうちしに
その石遙か下方にして
戞として樹をうち
また茂みを落つるの音せりき
師すでに立ちてあり
あへぎて云ひたまひけるは
老鶯をな驚かし給ひそとなり
講の主催者粛として立ち
われまた畏れて立ちつくせるに
人人〔一字難読〕かずつかれて多くはたゝずめりき
しかはあれかの雲の峯をば
しづかにのぞまんはよけんと
蕗の葉をとりて地に置けるに
講の主催者
その葉を師に参らせよといふ
すなはち更に三葉をとつて
重ねて地にしき置けるに
師受用して座しましき



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