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森山啓に
もりやまけいに
作品ID53484
著者槙村 浩
文字遣い新字新仮名
底本 「槇村浩詩集」 平和資料館・草の家、飛鳥出版室
2003(平成15)年3月15日
入力者坂本真一
校正者雪森
公開 / 更新2015-06-12 / 2015-06-16
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


漠冥たる成層が旋律を地上で引き裂く
私はあなたの健康がそれに耐え得るかを気遣った
こんな場合、あなたは物狂わしくなるにはあまりに古典的だ
そしてあなたのE線はひとりでに鳴ることを止め
朽ちるまで鳴ることを止めようとした―――それは単に私の杞憂だったか
困難な、漠冥たる成層の中で、あなたはまたE線を繋ぎ直した
赤外や紫外や緑外を超えたその他一切の地下の光線をこだわりなく貫く無絃の琴を
われ/\は自らの内に奏でることを宣言するのに、あんなにも模索し合った
僕は―――と言うはたやすい、だが君は―――と彼はためらった
君は―――と言うはさらにたやすい、だが僕は―――と他の彼は口ごもった
こんな時代、あなたが今も昔ながらのE線に自らの芸術を賭けて行く時
曚冥たる成層をそれが征服する時、人民の詩は新しい鍵にその楽器をふるわすだろう
そしてある種の偶然的な隠された音譜の陰にでなく
黙々たる操作と、沈静なる情熱とを抱く労働者技師としてのあなたを持つ「人民詩の工場」で、あなた自身のE線が生産される時………



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