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ダッタン海峡
ダッタンかいきょう |
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作品ID | 53485 |
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副題 | ――ダッタン海峡以南、北海道の牢獄にある人民××革命の同志たちに―― ――ダッタンかいきょういなん、ほっかいどうのろうごくにあるじんみん××かくめいのどうしたちに―― |
著者 | 槙村 浩 Ⓦ |
文字遣い | 新字新仮名 |
底本 |
「槇村浩詩集」 平和資料館・草の家、飛鳥出版室 2003(平成15)年3月15日 |
入力者 | 坂本真一 |
校正者 | 雪森 |
公開 / 更新 | 2015-06-06 / 2015-03-14 |
長さの目安 | 約 3 ページ(500字/頁で計算) |
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春の銀鼠色が朝の黒樺を南からさしのばした腕のように一直線に引っつかんで行く
凍った褐色の堀割が、白いドローキの地平を一面に埋める
―――ダッタン海峡! ふいに一匹の迷い栗鼠が雪林から海氷の割れ目え転げ落ちる
とたん、半分浮絵になった銅チョコレート色の靄の中から、だ、だ、ただーんと大砲を打っ発した
峡瀬をはさんで、一つの流れと海面からふき出した一つの島がある
土人は黒龍江を平和の河と呼び、サハリンを平和の岩と呼んだ
かつて南北の帝国主義の凝岩がいがみ合ったところ
いま社会主義の熔流が永遠の春を溶かそうとする
見はるかす
シベリヤ松とドウリヤ松の平原の釘靴帯
粘土の陵堡砦が形造る部落部落のコルホーズ
孤立したパルチザンの沼沢をめぐる麦と煉瓦と木材の工場群
おゝ、サヴェスチカヤ湾………おゝコモールスカヤ市………おゝバム鉄道………
その名を聞くたびに身内をめぐる新鮮な身震いを感じ
ウスリの少女らが頭に巻くハネガヤの花のような芳醇さを疲れた胸に吹き込む
それらの名前は
数万の、ロシヤと中国とウクライナと白ロシヤと高麗と日本の定住した民族の生活圏を、美くしく合成する第二次五ヶ年計画の完成を貫いているんだ!
おゝ希望の湾………おゝ青年の市………おゝ、北東の頭蓋を覆う××(1)鉄道………
凍原の砂漠と黒土の流れをつなぐ鉄柱の列は
いま偉大なゲンプランの軋りもて平和の岩に伸びようとする
また青年突撃隊の進軍だ………彼等の指導の下に工事は進むだろう
そしてかつて罪によって労働者の群から自らを脱落せしめたもの
鉄道敷設と海峡埋立をサヴェートは彼等に命じ
赤い労働器具は、やがて彼等を愉快な移民とするだろう
思え!
八千キロを疾走する赤い列車が赤軍を満載して
生産の動脈をゆする×動の響きを島々の突端にどよもす日
孤島の政治囚の憂鬱な対岸の鉄扉にまで軋みを伝える日
母なる間島をつらぬく満州=高麗の主線に対して
東洋××(2)の
最后の鋲をぶったつける北方の腕となる日を!
栗鼠はむっくり首をあげ、浅い飴色の岩礁の上をちょろちょろ這って行く
パルチザンのウダールニクの、あんなにもたけ/″\しい思い出を伝えた故郷
かつてムラビヨフ将軍は黒鷲の使者として菊花の軍閥と同じくこう宣言した
―――この地の占領は東部シベリヤ以南の人民の死命を制するだろう
いまわれ/\は
日本をひたすサヴェート同盟の
人民××(3)の保持者として声明する
―――この地は
露日プロレタリアートの前進の記念碑
東部シベリヤ以南の日本ブルジョアジーの
荘麗な墓柱となるだろう! と
―一〇・一二―
(1)(2)(3)革命