えあ草紙・青空図書館 - 作品カード
楽天Kobo表紙検索
大江満雄に
おおえみつおに |
|
作品ID | 53527 |
---|---|
著者 | 槙村 浩 Ⓦ |
文字遣い | 新字新仮名 |
底本 |
「槇村浩詩集」 平和資料館・草の家、飛鳥出版室 2003(平成15)年3月15日 |
入力者 | 坂本真一 |
校正者 | 雪森 |
公開 / 更新 | 2015-05-22 / 2015-03-08 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
広告
広告
こゝに機械の哲学者がある―――
彼は思考し、血潮の中に機械のどよめきをでなく、血潮と共に脈動する機械のリズムを感ずる
彼ははつらつたる工場の諧調を背負うて、齟齬しながら鈍重に歩いて行く
こゝに機械の哲学者がある―――
彼は技師を宣言し、一切に正面照明を送る
照明はゆかいに大大阪を漫歩する
機械にまで虚偽を造る資本の虚偽と、百万の労働の精神とを透過し
浮揚する二重性をもって、飢えた子供の胃のレントゲン絵にまで照入する
こゝに機械の哲学者がある―――
たしかに彼は巧みな限りにおいて危う気なく進む
だがわたしらをして提議せしめよ―――
現実を後にでなく
前に置こう!
前方をして常にかちうべき真実の生産であらしめよ!