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イングランドの西部の諸州とくにグルスターシャーで見つかった病気で、 牛痘の名で知られているウシ天然痘の原因および効果についての研究
イングランドのせいぶのしょしゅうとくにグルスターシャーでみつかったびょうきで、 ぎゅうとうのなでしられているウシてんねんとうのげんいんおよびこうかについてのけんきゅう
著者
翻訳者水上 茂樹
文字遣い新字新仮名
入力者
校正者大久保ゆう
公開 / 更新2011-08-01 / 2019-03-01
長さの目安約 47 ページ(500字/頁で計算)
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本文より

真と誤を示すことができるものとして感覚以上に確実な試験があるだろうか? ルクレティウス


バースのC・H・パリー博士殿

親しいわが友へ
 科学研究の現代において、牛痘のように特別な性質をもつ病気が最近にこの州および近くの州に出現したのに、長期にわたって特別に注目されていないのは驚くべきことである。この問題について、我々と同じ専門の人たちやその他の人たちが極めて無知であり決定的でないことを見出し、事実は全く不可思議なものであり役に立つことを感じたので、私はこの地方の状態が許す範囲でこの変わった病気について詳しい研究を行った。
 ここに続くページがその結果であり、最も愛情のこもった挨拶をもって貴方に献呈する。
貴方の誠実な友より、
エドワード・ジェンナー
バークレー、グルスターシャー
6月21日、1798


牛痘の原因および効果についての研究



 元来、ヒトが自然によって置かれた状態から逸脱することは、病気の原因となっているようである。見事さへの愛、贅沢への楽しみ、慰みを好むことから、元来は友人でない多数の動物とヒトは仲が良くなった。
 オオカミは獰猛さを失って婦人の膝を枕にしている〔1〕。我々の島の小さなトラだったネコの本来の棲みかは森であったが、同じように飼い慣らされて可愛がられている。雌牛、ブタ、ヒツジ、ウマは目的は違うが人間に飼われ、支配下にいる。
 家畜としての状態から、しばしば問題として取り上げられているウマの病気がある。獣医たちはこれを「踵炎」(Grease)と呼んでいる。これは踵の炎症であって腫脹していて、(これから述べようとする変更を受けた後で)人体に病気を起こす特別な種類の性質を持っている。この病気は人痘(*痘瘡、天然痘:牛痘と区別するために、出来るだけ人痘にした)に非常に強く似ていて、人痘が踵炎の原因ではないかと思うほどである。
 乳業が盛んなこの地方では多数の雌牛が飼われていて、乳搾りの業務は見境なく男女の召使によってなされている。男の召使のあるものは踵炎に罹ったウマの蹄の手当をするように命じられ、清潔を充分に考えないで、不注意にも感染性物質の粒を指につけたままで雌牛の乳搾りを行っている。このようにすると病気が雌牛に伝染し、雌牛から乳搾り女に移り、病気は農園内に広がり、最後に雌牛および家畜が不愉快な結果になる。この病気は牛痘の名前を得ている。これは雌牛の乳頭に不規則な膿疱として起きる。最初に出現したときに普通はうす青く、またはむしろ暗青色に近く、丹毒に似た炎症で囲まれている。
 これらの膿疱は遅くならないうちに治療しないと、しばしば侵食性潰瘍になり、極めて面倒なことになる〔2〕。
 雌牛たちは加減が悪くなり、ミルクの分泌が少なくなる。乳搾りに雇われた使用人たちの手に炎症が点々と出現し、急速に化膿し、最初は火傷でできた発泡のように…

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