えあ草紙・青空図書館 - 作品カード
楽天Kobo表紙検索
誤って健康を伝えられた同志たちに
あやまってけんこうをつたえられたどうしたちに |
|
作品ID | 53659 |
---|---|
著者 | 槙村 浩 Ⓦ |
文字遣い | 新字新仮名 |
底本 |
「槇村浩詩集」 平和資料館・草の家、飛鳥出版室 2003(平成15)年3月15日 |
入力者 | 坂本真一 |
校正者 | 雪森 |
公開 / 更新 | 2015-05-19 / 2015-03-08 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
広告
広告
健康(1)の一語をかる/″\しく口にするな!
健康(1)の錯誤は健康の犠牲よりいたましい
これほどわたしら共同の仕事の大きな邪魔者があろうか!
どちらがより多く仕事が出来るか?
獄内で坐っているわたしらにか、獄外で迫害に耐えているきみらにか?
わたしらはいつもきみらの過誤と素朴と情熱とを愛した
わたしらは出獄した時のきみらの仕事の成果をまじめに期待した
その後をわたしらが引きついでやりぬくために!
だが
仕事をせぬために過誤せぬもの、わづかの差異をたてに責任の摘発に自慰するもの、卑劣なあげあしとりを自己の合理化と宣伝とに利用するもの
革命の寄生虫―――ルンペン・プロレタリアートに呪あれ!
わたし、転向を知らぬ何千万の鋼鉄の裁判官の一人として
健康を伝えられた不幸な同志たちに代って宣告する
「汝等のうちに罪なきもの、先づ石を投げうて!」
(1)転向