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異郷なる中国の詩人たちに
いきょうなるちゅうごくのしじんたちに
作品ID53660
著者槙村 浩
文字遣い新字新仮名
底本 「槇村浩詩集」 平和資料館・草の家、飛鳥出版室
2003(平成15)年3月15日
入力者坂本真一
校正者雪森
公開 / 更新2015-05-19 / 2015-03-08
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


わたしらはあなたの国では、正しい詩人は舌をひっこぬかれると聞いた
わたしらはなお聞いた―――資本をつなぐ軍部と軍閥の鉄道の上に
ひっこぬかれた詩人らの舌が
わたしらの故郷の海のさん/\たる珊瑚珠のように、串刺しにしてさらされてあるのを

荒らされた珠は、海の青さの海で真紅に燃えていた
その一粒々々は揺れ合い折れ重なり、嵐の中で彼自身の地肌を完全に保存した
わたしらえの侵害をあなたらの禦いだのには及ばなかったが
根限りあなたらえの侵害を守ろうとし
そして囚われの中でわたしらはなお聞いた―――大陸の都市と村々をどよもす風のさゞめきの陰で
さらされた舌が一様にひるがえり、紅旗の歌を奏でつゞけるのを
どんな日と、寒さと、洪水が、あなたらの朽ちえぬ紅さを、高く保全し、そしてかたみに押しひろげえなかったろうか

あなたらの国とわたしらの国ではどちらも一篇の詩が牢獄か牢獄に値する
そして書く隙と、書く自由をもたぬ詩人たちが、どんなに多いことだろう!
あなたらとまたまた歌いぬこう―――異郷に捧げられた詩誌の上に
あなたらの国のはてに築かれたあの偉大な黎明が、あなたの歌を明瞭にわたしらの耳に響かしめうる日まで



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