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待機
たいき
著者金 鍾漢
文字遣い新字旧仮名
底本 「〈外地〉の日本語文学選3 朝鮮」 新宿書房
1996(平成8)年3月31日 
初出「国民文学」1942(昭和17)年12月号
入力者坂本真一
校正者hitsuji
公開 / 更新2020-02-28 / 2020-01-24
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)
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本文より


雪がちらついてゐる
しんみりしづかに 雪がちらついてゐる
そのなかを ききとして きみたちは
いもうとよ またいとこよ おとうとよ
まなびやへと急いでゐる
ながいながい 昌慶苑の石垣づたひ
雪がちらついてゐる

しんみりしづかに
雪がちらついてゐる ちらついてゐる
おとうとよ またいとこよ いもうとよ
それはふりかかる きみたちのかたに
たわわな髪の毛に ひひとして やぶれ帽子のうへに
十ねんわかくなつて わたくしも
きみたちと 足なみをそろへてゐる
雪がちらついてゐる

たしか きよねんの十二月八日にも
雪がちらついてゐた あれから一ねん
たたかひはパノラマのやうに
みんなみの海へひろげられていつた
そしてきみたちは ごはんのおいしさをおそはつた
またいとこよ いもうとよ おとうとよ
きみたちのうへに 雪がちらついてゐる

雪がちらついてゐる
ながいながい 昌慶苑の石垣づたひ
かくも 季節のきびしさにすなほなきみたちに
あへてなにをか いふべき言葉があらう
雪がちらついてゐる しんみりしづかに
いもうとよ またいとこよ おとうとよ
雪がちらついてゐる きみたちの成長のうへに
ひひとして 雪がちらついてゐる



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