えあ草紙・青空図書館 - 作品カード
楽天Kobo表紙検索
![]() しゅりじょう |
|
作品ID | 53835 |
---|---|
著者 | 世礼 国男 Ⓦ |
文字遣い | 新字旧仮名 |
底本 |
「沖縄文学選 日本のエッジからの問い」 勉誠出版 2003(平成15)年5月1日 |
初出 | 「日本詩人 第三巻第三号」1923(大正12)年3月 |
入力者 | 坂本真一 |
校正者 | 良本典代 |
公開 / 更新 | 2017-01-23 / 2017-01-18 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
広告
広告
清ら若水にみそぎ美々しく袖ひきつらね
首里天加那志美御機拝むと人々は
開暁鐘とつれて石畳九重の城に登つたで(あ)らう
歌と蛇及皮線に城内の夜は明けはなれ
御祝ごと続く御代の福らしや
都大路にあけず羽美衣も晴れやかに飛び交ひ
御冠船踊の華々しさよ
浮上とて見ゆる凪の伊平屋嶽の如くに
玉黄金若人たちは
娘たちの前に踊り栄えたであらう
花の昔よ走川のごとに
(流)れゆく年波を漕ぎ戻すよすがもなく
唐破風の屋根は苔蒸し 風にいたみ
竜樋の泉には清ら白鳥もおり立たず
茨に古ぶ階段とほく石塊ふみあぐみ
城壁高く望楼に登り立てば
天美子の御神天降り作り召したる島々や
新装こらした緑の真帆はりはい並び
おす風とつれて朝の港を帆走いづるよ。