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![]() おろかなるものよ |
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作品ID | 53939 |
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著者 | 徳永 保之助 Ⓦ |
文字遣い | 新字新仮名 |
底本 |
「日本プロレタリア文学集・38 プロレタリア詩集(一)」 新日本出版社 1987(昭和62)年5月25日 |
初出 | 「近代思想 創刊号」1912(大正元)年10月 |
入力者 | 坂本真一 |
校正者 | フクポー |
公開 / 更新 | 2018-08-10 / 2018-07-27 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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愚かなる。
太陽を捕え、朝の日光を、
縄をもって縛しめむとする。
風に乗り、あるはまた、
走る流れに逆らわむとする。
四季を阻みて、降る雨を止めむとする。
空気と戦う心無さよ。
ありとある力を、畢に無にせむ。
かかるに同じく、かかる業より更に愚かなる。
人の言う所を咎め、そを強いて教に適わさんとする。
定めを人の上に立て、
物言うも、そを超えしめぬ。
さなり、人の口を壅がむこと、
吹く風を捕うるよりも難きものを。
愚かなるものよ。
(『近代思想』一九一二年十月創刊号に飄風名で発表)