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御国のために
おくにのために |
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作品ID | 53999 |
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著者 | 根岸 正吉 Ⓦ |
文字遣い | 新字新仮名 |
底本 |
「日本プロレタリア文学集・38 プロレタリア詩集(一)」 新日本出版社 1987(昭和62)年5月25日 |
入力者 | 坂本真一 |
校正者 | 雪森 |
公開 / 更新 | 2015-08-05 / 2015-05-25 |
長さの目安 | 約 1 ページ(500字/頁で計算) |
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歩いて帰れ、歩いて帰れ、
忠君愛国者よ。
東京から故郷まで一百三十里
お前は稼いだ、働いた。
熱心に着実に、ほめらるる迄、
海軍将校なる主人のために。
主婦のために。
男爵家のために。
お前は徴兵検査のために帰郷する、
その旅費をもたぬ。
御国の為だ。
国民の義務だ。
歩いて帰れ、歩いて帰れ
忠君愛国者よ
東京から故郷まで一百三十里。
(発表誌不詳 『どん底で歌う』を底本)