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保護職工
ほごしょっこう
作品ID54097
著者森 竹夫
文字遣い新字新仮名
底本 「日本プロレタリア文学集・39 プロレタリア詩集(二)」 新日本出版社
1987(昭和62)年6月30日
初出「学校詩集」学校詩集発行所、1929(昭和4)年12月
入力者坂本真一
校正者フクポー
公開 / 更新2018-06-21 / 2018-05-27
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


働いているこの機械は家庭用シンガーミシン台ではない
旧式な製本の安機械
彼女は磨き歯車に油を注す
埃をうかべた日光が漸くさぐりあてるくらがりで
だまりやさん
だまりやさん
だけどわたしはお前がじっと何をこらえているのか知ってるの

十六歳未満だから保護職工
何てかがやかしい名だ美しい名だ
残業はたっぷり四時間
活動小屋のはねる頃になって
半分眠ったこの保護職工は縄のようなからだで露路から電車道にたどりつく

ガスのたまった神田の工場街では雀もあそばない
十一月に入って冷たい雨がふり出した
通りがかりに見ると彼女は今日も見えぬ
じっと光をこらした機械の上におどろくべき鮮明さで保護職工の指紋がついていた
(一九二九年十二月学校詩集発行所刊『学校詩集』に発表)



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