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メーデーを待つ
メーデーをまつ
作品ID54104
著者木村 好子
文字遣い新字新仮名
底本 「日本プロレタリア文学集・39 プロレタリア詩集(二)」 新日本出版社
1987(昭和62)年6月30日
初出「働く婦人」1932(昭和7)年5月号
入力者坂本真一
校正者雪森
公開 / 更新2015-10-24 / 2015-09-01
長さの目安約 2 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


うす暗い長屋のすみで、毎日、
私と坊やは糊まみれ、
糊にまみれてせっせと渋団扇を張るけれど
戦争にあなたを奪われた私の生活
張っても張っても追っつかない
苦しい暮しの真ただ中で――おお早や五月
闘いのメーデーが来る!

おお戦争と白テロの渦巻く中
今年のメーデーはどんなにすごかろう
それにつけても忘れられぬあなた!
去年、あのだらしない葬式行列に
組合の人達と一緒に割り込みの先陣をうけもったあなた、
あなたは今は何処に?
引ったてられて行ってからもう三月
どこにいるやら便りもない

おお何の便りもよこさないあなた!
戦争はしつこくながびき
侵略の陰謀に折づめされた
あなたの便りは聞かれぬけれども
――忙しい仕事の合間合間に
訪ねてくれる組合の人とも語る
あなたは腕のある組織者! どこにいようと、
きっと仲間を集めて逆襲にそなえているであろう。

おおあくことなく信頼するあなた! 愛する私の夫!
木々の芽はのび、戦いの五月は迫ってくる
此頃――組合の人達はせっせと準備している
組合の人から聞きおぼえた
坊やのメーデー歌も片言まじり………
苦しい暮しをけとばして、示威るその日を、
そうだ! 坊やも私と糊にまみれて待こがれる。
(『働く婦人』一九三二年五月号に発表)



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