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かつてわが悲しみは
かつてわがかなしみは
作品ID54114
著者三好 達治
文字遣い旧字旧仮名
底本 「三好達治全集第一卷」 筑摩書房
1964(昭和39)年10月15日
初出「朝日新聞」1940(昭和15)年5月6日
入力者kompass
校正者杉浦鳥見
公開 / 更新2020-03-24 / 2020-02-21
長さの目安約 1 ページ(500字/頁で計算)

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本文より


かつてわが悲しみは かの丘のほとりにいこへり
かつてわが悲しみは かの丘のほとりにいこへり

五月またみどりはふかく 見よ
かなたに白き鳥のとぶあり

おのが身ははやく老いしか
この日また何にいそぐや

あてどなき旅のひと日の
夕ぐれの汽車のまどべに

かの丘はしづかに來り
かの丘は來りぬかづく

見よかしこに なつかしきかの細路は 木の間をいゆきめぐりたり
見よかしこに なつかしきかの細路は 木の間をいゆきめぐりたり

されど今はなし 今はなし 今はなし
かの遠き日の かずかずのわがもの思ひ

あはれ 今はなし
今はなし げに

あはれげに わが思出はかの丘の木かげに眠れり
あはれげに わが思出はかの丘の木かげに眠れり



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